マッサージの対象
マッサージの対象となるのは、筋です。
ボディとフェイシャルでは大きさ、筋の太さなどが異なるので、手や指をあてる範囲、強さ、重さが変わってきます。
マッサージの手技
手指を用いてマッサージすることをマニピュレーションとよんでいます。
マッサージの基本手技には次の7種類があげられます。
- 軽擦法(エフルラージュまたはストローキング)
- 強擦法(フリクション)
- 揉燃法(ペトリサージュ)
- 振動法
- 打法
- 圧迫法
- 関節運動法
それぞれ詳しく見ていきましょう!
①軽擦法(エフルラージュまたはストローキング)
軽擦法とは?
A.軽擦法は、皮膚にゆっくりとリズミカルに加えられる、軽くなでたり、さすったりするマッサージ方法です。軽い連続した動きで圧力を用いません。
皮膚の面積の広いところには手掌を、狭いところは指先を用います。
効果は?
軽擦法の効果は、知覚神経を刺激、弛緩、休息させ、毛細血管を拡張して血液の循環を促すことです。
各技法のはじめに必ず行うとともに、強い手技操作への準備として用いられます。
↓シャンプーイングの際の頭皮の軽擦法
②強擦法(フリクション)
強擦法とは?
強擦法は、深部を意識して、指先または手掌で強くこすりながら細部に対して刺激をあたえる方法です。
効果は?
毛細血管の充血を高めて、物質代謝を促すし、皮下の老廃物の除去を早める効果があります。
↓シャンプーイングの際の頭皮の強擦法
③揉燃法(ペトリサージュ)
揉燃法とは?
揉燃法は、主に筋肉を対象に行うもみほぐすマッサージ方法です。
揉燃法には、以下のような5つがあります。
❶サーキュラーニーディング | こねる揉燃法 |
❷リンギング | 絞る揉燃法 |
❸ローリング | 転がす揉燃法 |
❹ピックアップ | 持ち上げる揉燃法 |
❺ナックリング | こぶしで行う揉燃法 |
詳しく見ていきましょう!
❶サーキュラーニーディング
サーキュラーニーディングは、筋肉を手掌でつかみ、円を描きながらこねるように行う揉燃法です。
顔を行うときは中指を使い、常に中央から外に向かって行います。
❷リンギング
リンギングは、強い揉燃法で、両手掌(てのひら)または指で筋肉をつまみあげ、筋肉をゆがめるように絞りながら行う揉燃法マッサージです。
❸ローリング
ローリングは、母指と4指で結合組織をつまみ、大きく転がすように行う揉燃法マッサージです。
❹ピックアップ
ピックアップは、両手掌で左右から筋肉をよせて持ち上げるように行う揉燃法です。
❺ナックリング
ナックリングは、こぶしで、円を描きながら押印するように行う揉燃法マッサージです。
効果は?
揉燃法の効果は、皮膚の老廃物を組織外へ送り、 静脈とリンパ管のはたらきを高めて、皮膚の状態を良好にすることです。
揉燃法にはさまざまな動きに合わせた名称があり、ボディも含め次のような技術が主に用いられます。
↓シャンプーイングの際の頭皮の揉燃法
④振動法
振動法とは?
振動法は、皮膚やその下部組織に振動を伝えるために、手またはバイブレーターが使用されるマッサージ方法。
効果は?
振動法の効果は、知覚神経に快感をあたえるとともに、血液の流れを促すことです。
↓シャンプーイングの際の頭皮の振動法
⑤打法
打法とは?
打法は、こぶし・手掌・手掌・外側面指の先端などで規則正しく打つマッサージ方法です。
打法には以下のような種類があります。
❶タッピング | 指の掌面を用いて行う |
❷ハッキング | 手掌の外側面で行う |
❸ビーティング | こぶしで行う |
❹カッピング | 手掌をくぼませて行う |
フェイシャルでは、指の掌面を用いて行う打法(タッピング)が主に用いられます。
ボディに対しては、カッピング・ハッキング・ビーティングが用いられます。
↓シャンプーイングの際の頭皮の打法
効果は?
筋の収縮力の増加、 神経機能の調整などに効果があります。
打法は、ひきつりやすい筋肉や感受性の強い部分には行ってはなりません。
⑥圧迫法
圧迫法とは?
圧迫法は、手掌全体や手指で圧迫するマッサージ方法です。
効果は?
圧迫法では筋肉や血管系などに刺激をあたえ、物質代謝効果と、神経や筋肉の興奮を鎮める効果があります。
↓シャンプーイングの際の頭皮の圧迫法
⑦関節運動法
関節運動法とは?
関節運動法は、お客さまに手足の力を抜いてもらい、前後左右または円状にマッサージ部位を技術者が動かす方法です。
ボディに用いられるマッサージ技術です。
効果は?
手足の関節に刺激と休息をあたえる。
フェイシャル(顔面・顎部)ケア
顔に対してケアすることをフェイシャルケアと言います。
例)クレンジング、ディープクレンジング、フェイシャルマッサージ、フェイシャルパック、整肌、保湿 など
フェイシャルケアの目的は?
フェイシャルケアの目的は、顔面・顎部の皮膚を若々しく健康に保ち、皮膚の保護機能を助けることです。
フェイシャルケアの方法
フェイシャルケアには、
❶物理的な方法
❷化学的な方法
があります。
❶物理的な方法
物理的な方法によって、皮膚や筋肉に熱や刺激をあたえる方法です。
例)マッサージや電気、光線 など
❷化学的な方法
化学的な方法は、適切なケア商品により、皮膚を若々しく健康に保とうとする方法です。
例)化粧水や乳液・マッサージオイル(クリーム)・パック剤など
フェイシャルケアの手順
フェイシャルケアは、
- クレンジング
- ディープクレンジング
- フェイシャルマッサージ
- フェイシャルパック
- 整肌
- 保湿
の順に行います。
❶クレンジング
クレンジングとは?
A.顔の洗浄のことをクレンジングと言います。
クレンジング用製品を顔面に塗り、皮膚の深部や表面に付いている皮脂・ あか・汗・垢·ファンデーションなどの汚れを浮かせ、スポンジなどで除去します。
クレンジング用製品には、クレンジングミルクやクレンジング・クリーム・クレンジングジェル・ローションなどがあります。
皮脂分泌が多い部分や、毛穴が目立ったりする部位には、回転ブラシを一緒に使うとGOODです
❷ディープクレンジング
ディープクレンジングとは?
A.クレンジングで落としきれない老廃角質や過剰皮脂を取り除くことを言います。
❸フェイシャル(&デコルテ)マッサージ
フェイシャルマッサージとは?
A.顔のマッサージのこと
フェイシャルマッサージでは、マッサージオイルやクリームを使ってマッサージを行います。(手指と皮膚との摩擦で生じる熱や刺激を和らげ、皮膚の刺激を穏やかにするため)
マッサージオイル(クリーム)の選択方法
- 脂性肌の場合は、油分の少ないオイル(クリーム)を使用し、量も多すぎないように注意します。
- 乾性肌の場合は皮脂も水分も少ない状態なので、脂腺のはたらきを助けるために、油分と水分の両方を補うクリームが良いです。
- オイル(クリーム)の使用量は、皮膚に負担をかけずに指先がスムーズに滑る程度が良いです。(肌質や部位により、調整します)
マッサージオイル(クリーム)の使用量は、多すぎても少なすぎてもダメです。
皮膚に負担をかけずに指先が滑らかに動く量を目安としましょう。
フェイシャルマッサージとともに、デコルテ(胸板)も含めて行うことが多く、一緒に行うときは、デコルテから入るのが一般的です。
デコルテ周りの筋肉をほぐしてから顔に入ると、顔の細胞への血液供給よくなり効果が高まるからです。
目的は?
フェイシャルマッサージは、物質代謝を高め、美しい肌を保つとともに、老化の予防を目的としています。
効果は?
フェイシャルマッサージは、以下のような効果と特徴があります。
効果と特徴
- 皮膚の物質代謝を促進する効果(血液中の酸素や栄養分の補給、老廃物の排除)
- 血液とリンパの循環を活発にする。
- 皮脂分泌の調整
- 肌が触れることによる、精神的な満足感
マッサージ方法は?
A.フェイシャルでは、主に軽擦法が用いられます。
皮膚の状態、年齢などによりますが、1動作3〜6回程度行います。
マッサージの方向性、起点、終点は、血流や筋肉、リンパ節の場所などに基づいています。
❹フェイシャルパック
フェイシャルパックとは?
フェイシャルパックは、皮膚にパック剤を塗布する方法です。
効果は?
フェイシャルパックは、❶クレンジング・❷ディープクレンジング・❸フェイシャルマッサージの効果、保湿効果を高め、皮膚を清浄します。
フェイシャルパックの目的は?
フェイシャルパックの目的は、下記の通りです。
- 皮膚と空気との接触をさえぎることで、皮膚の温度を高め、血液やリンパの循環、発汗を促すこと
- 皮膚表面から蒸発する水分をパック剤との間に保持し、角質を柔軟にし、パック剤の有効成分を浸透しやすくすること
- パック剤の乾燥にともない皮膚を緊張させること
- 最後にパック剤を取るときに、汚れや老廃物も取り除き、皮膚を清浄にすること
- 物質代謝を高め健康と美しさを保つこと
フェイシャルパックの種類
パック剤の形状は、
❶ピールオフタイプ(はがし取るタイプ)
❷ウォッシュオフタイプ(水で除去するタイプ)
に分けられます。
❶ピールオフタイプ
ピールオフタイプは、皮膚に塗布し、放置した後に皮をむくように剥がすタイプのパック剤です。
高分子化合物(分子量の大きな有機化合物)を化学処理し、ペースト状、ゼリー状にしています。
【特徴】
- 皮膚に塗布し、放置した後に皮をむくように剥がします。
- 放置時間は約10~20分です。
- 赤外線を照射して乾燥を時間短縮させることが多い。
【働き】
- 保湿・吸着、代謝促進のはたらき(パック剤をはがすときに古い角質も除去されるので)などがあります
❷ウォッシュオフタイプ
ウォッシュオフタイプは、皮膚に塗布し、放置した後にパック剤を水分を含んだスポンジなどでやわらかくしてふき取るタイプのパック剤です。
油分や水分、有効成分などを加えてペースト状・ゼリー状・粉末状にしています。保湿成分やタンパク分解酵素配合のパック剤は温めるとより効果的です。
固まるものと固まらないものがあります。
【特徴】
- 赤外線灯・スチーマー・ODT法で温めて使うと効果的。(ODT法…ラップなどを使用し密封する方法)
- サロンではウォッシュオフタイプを使用することが多い
【働き】
- 保湿・吸着・鎮静などのはたらきがあります
❺整肌
整肌は、肌の状態を整えることをいいます。
肌質によって化粧水を選ぶことが重要で、脂性肌の場合は、毛穴を引き締め、皮脂抑制効果もある収れん化粧水を使うとGOODです。
❻保湿
保湿は、 水分と油分を補い、皮膚表面に保護膜をつくり、ケアの効果を持続させることを目的としています。
ボディケア
ボディケアとは、素肌本来の美しさを維持し、理想的なプロポーズションをつくり出すことを目的として行う美容技術のこと。
健康的な美しさをつくることが、ボディケアの基本です。
現在の女性美は、単に顔の美しさだけではなく、容姿全体の美的調和という観点から求められています。
ボディケアの種類と技術
ボディケア | マッサージ法 | 機器や手指を用いる方法 |
温熱法 | 風呂、ジェットバス、サウナなど | |
運動法 | 有酸素運動・筋力トレーニング・ストレッチング |
ボディケアの方法には、
- マッサージ法
- 温熱法
- 運動法
などがあります。
①マッサージ法
ボディケアのマッサージ法は、機器や手指を使って体をマッサージする方法です。
効果
- 血液やリンパの循環、新陳代謝を促します
- 皮膚や筋肉の機能を高め、体全体の調子を整えます。
- 自律神経を安定させ、リラックスさせます。
- フェイシャルマッサージ以上のリラクゼーション効果が期待できる
【ポイント】
- 立ち位置に注意し、体重を利用して行う
- 一定のリズムをつくると良い
- マッサージ剤は、素早くなじむオイルがふさわしい(植物性オイルが多く使われる)
- オイルの量は、適度に筋肉をつまめる程度の量がよい(多いと手が滑りすぎる)
各部位のマッサージ方法・ポイント
上肢(腕、肩) | 前腕は、腕橈骨筋などの筋肉を意識してもみほぐす。
上腕部は脂肪がつきやすい部分なので、揉燃法を入れる。 |
腰 | 仙骨腸骨に沿って軽擦法やサーキュラーニーディングでもみほぐす |
臀部(おしり) | 打法で深く刺激し、中央に持ち上げるように行う。 |
腹部 | 肋骨や骨盤に注意してマッサージを行う。
腸の走行に沿ってマッサージすると蠕動運動が活発に行われ、腸の調子を整えることができる。 |
下肢(足、太もも) | 静脈血やリンパ液の流れを意識して、体の末端から中心へ求心的(心臓へ向かう方向)力を加えていく。
下腿部(ふくらはぎ)は、前脛骨筋・ 腓腹筋・腓腹筋を意識する。 大腿部は、大腿直筋・大腿二頭筋などの大きな筋肉を特に意識する。 |
背中 | 背中のマッサージは心身のリラックスに最も効果があります。
僧帽筋や肩甲骨周辺の筋肉を対象に、揉燃法で深部までもみほぐすと良い。 背中のマッサージで使用するベッドは空気穴のあるものが良い |
②温熱法
温熱法は、風呂やシャワー、サウナなどの温湯・熱風・蒸気などの温かな熱を利用するボディケア方法です。
中温度(40℃弱)の効果
- 副交感神経のはたらきを高める
- 精神的・筋肉的な疲労回復
- 血液循環、代謝作用、発汗作用を盛んにする
42℃を超える場合は、急激に血管が収縮して血圧が上昇するので、心臓病や高血圧症の人は注意が必要です。
③運動法
運動法は、体を動かすことによるボディケアの方法です。
運動法には、
- 有酸素運動
- 筋力トレーニング
- ストレッチング
などがあります。
運動法 | ❶有酸素運動 |
最低20分以上行うことが必要です。 |
❷筋力トレーニング |
アイソメトリックトレーニングは、静的運動のこと。 アイソトニックトレーニングは、ダンベル運動のような動的運動のこと。 |
|
❸ストレッチング | 筋肉をのばし、一定時間保持するもの |