<<チェックポイント>>
美容技術理論では、
- 美容技術理論
- まつ毛エクステンション
- 理・美容器具 ・ 色彩及びデザイン
が【重点項目】とされています。要チェックです。
錯覚現象と美容(過去出題)
線をさまざまな形に配置して意図的に錯覚(あるいは錯視)を生じさせるために考案されたものを幾何学的錯視といいます。
「化学的錯視」や「科学的錯視」ではないので注意!
幾何学的錯視には、分割距離錯視・ポンゾ錯視・大きさの対比現象・ツェルナー錯視などがあり、大きく分類すると距離・大きさに関する錯視と角度・方向に関する錯視の2つに分けることができます。
例題)美容デザインにおける錯覚現象に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)線をさまざまな形に配置して錯覚を生じさせるものを、化学的錯視という。
(2)幾何学的錯視には、距離・大きさに関する錯視と角度・方向に関する錯視がある。
(3)ボリュームの大きいヘアスタイルに囲まれた顔がボリュームの小さいヘアスタイルの場合より小さく感じるのは、大きさの対比現象によるものである。
(4)平面的に画かれたものを立体的に見せる手法の1つに、陰影をつけるという方法がある。
正解)(1)…幾何学的錯視の間違い
幾何学的錯視
分割距離錯視
距離・大きさに関する錯視であり、同じ長さの線分でも間に線が入ると長く見える錯視。
下図の線は、両方同じ長さです。

分割距離錯視
ポンゾ錯視
距離・大きさに関する錯視であり、奥行き・遠近感の知覚によるものだと考えられている錯覚。
下図で、上下に並んだ 2本の線分は同じ長さであるが、上の線分の方が長く見える錯視のこと。

ポンゾ錯視
大きさの対比現象
距離・大きさに関する錯視。
大きい円にとり囲まれた円は実際よりも小さく見え、逆に小さい円でとり囲まれた円は実際よりも大きく見えるような錯視。

大きさの対比現象
ツェルナー錯視
角度・方向の錯視。
下図ような、全て並行な直線であるにも関わらず、組み合わせによって曲がっているように見えるような錯視。

ツェルナー錯視
幾何学的錯視以外にも
ジョバネッリの錯視
枠の位置がずれているために、それに引きずられて、見ている対象もずれているように見えてしまうような錯覚のことを、ジョバネッリの錯視といいます。
下図に描かれている点は、実際には等間隔に規則的に配置されています。
しかし、それぞれの点が囲まれている三角形や正方形や円形の位置がずれているために、それに引きずられて、見ている対象もずれているように見えてしまいます。
私たちは点の位置を判断するのに、それらの枠を基準にして判断してしまう傾向があり、枠の位置の影響を受けてしまいます。

ジョバネッリの錯視
枠組み効果
枠組みによって(枠の位置がずれているわけではない)、対象の位置がずれて見えたりする現象を枠組み効果といいます。
下図のように、人間の左右の目の高さが、それらを覆う黒いマスクの位置のずれによって変化して見えてしまう。…など

枠組み効果
陰影
平面的に描かれたものを立体的に見せる手法の1つ。
陰影を化粧に応用した例)アイシャドー
アイシャドーにより顔に凹凸が生まれ、平板な顔を彫りの深い顔立ちにみせることができます。
主観的輪郭線
実際には輪郭線が存在しないのに、あたかもそこにあるように見える輪郭線のこと。
このような輪郭線を主観的輪郭線といいます。
「客観的輪郭線」ではないので注意!
下図は、その例であり、実際には輪郭線は存在しないが、図の中央に白い円があるように見えるはずです。

主観的輪郭線
デザインの要素
デザインの要素には何がある?
デザインの要素としては点・線・面があります!
点
点とは
点はすべての形の基本的な要素です。点が集まると線になり、 線が集まって面ができます。
点の機能
南雲治嘉によれば点の基本的な機能には、「位器を示す」「強調」「区切り」「接続」「釣り合い」などがあると言います。
1つの点
何もないところに点が入ることによって、強い緊張感を引き起こすことができ、1つの点は、空間の基準点にもなり、アクセントポイントにもなります。
ヘアスタイルでの例
- 髪の分け目が顔の輪郭に接する点
- カットラインの終点
- シニョンなど
2つの点
点が2つになると、点と点の間に力がはたらき、注意の流れる方向が生じます。
点の数が2つ以上になると、私たちは、点と点の間を直線で結んだイメージを心に浮かべる傾向があります。
線
ヘアスタイルは、毛髪という線の集合でできている。線には動きがともないます。
線の形状にはさらに種類があり、曲線の大きい・小さい、ウエーブが小さい・長い、直線を使い分けることで様々な印象を演出できる
例)ソバージュヘアは、細かくウエーブを付けた髪が直線的に広がるので、やわらかい印象ではなく、強い印象となる。
線の機能
線の機能には、「強調」 「区切り」「接続」「境界」「輪郭」「方向」「角度」 「分害割」「めりはり」などがあるといわれます。
線の種類と印象
線には、直線・曲線・太い・細いなどがあります。
直線 | 単純で、強く、明瞭で男性的 |
曲線 | 繊細で、優美で、女性的な感じ |
太い直線 | 力強いが、鈍さを感じさせるときもある |
細い直線 | 鋭く神経質な印象を与える |
面
面を構成する要素としては、形・大きさ・テクスチャーがあります。
面 | 形 |
大きさ | |
テクスチャー |
形には3つの基本形があり、それは 正方形・円・正三角形があります。
形 | 正方形 |
円 | |
正三角形 |
形
形によって連想されるイメージは、以下のようなものがあります。
正方形 | 単調・正直さ |
円 | あたたかさ・無限 |
正三角形 | 活動・葛藤・緊張 |
形の印象は、線の印象と深い関係があり、鋭角的な線でつくられた形は鋭さと緊張感を、直角を中心とする線の交わりでつくられた形は安定感を、曲線でつくられた形はやわらかさを示すことになります。
大きさ
ある対象が大きいか小さいかは、それ自身の絶対的な大きさによって決まるのではなく、周囲のものとの相対的な大きさの関係によって決まります。
テクスチャー
テクスチャーは、元来、物体の表面の微細構造が生み出す感触上(触覚)の特性のことを言います。
ヘアスタイルにおけるテクスチャーは、ストレートかウエーブもしくはラフな表面の仕上がり感のこと。
- ストレート…硬質を感じる
- ウエーブ…やわらかさ、ラフ、軽さを感じる。
- 暗い色で艶が強い場合…重く、落ち着きや強さを感じる
- 明るくドライ感が強い場合…軽く、やわらかさやカジュアル感
- テクスチャーは、触覚情報だけでなく視覚情報によっても推測できる
- テクスチャーは遠近を知る手がかりにもなるという。
- 色や艶もテクスチャーと関わる
デザインの原理
群化の法則
点・線・面など、デザインの要素が2つ以上描かれると、それらの要素は互いに影響を及ぼしあう。 その影響の及ぼし方には法則性があり、これを群化の法則とよんでいます。
近接の要因
デザインの要素において、近いものどうしが、互いに引き合って1つのグループを形成する性質のことを近接の要因といいます。
例えば、下図には6つの点が描かれていますが、私たちはこれを2つの点が3箇所に散らばっているように見てしまいます。

類同の要因
似ている要素どうしは、互いに引き合って1つのグループを形成する性質のことを類同の要因といいます。
下図を見たとき、私たちは3つの大きな正方形と4つの小さな正方形の2グループ分けて見てしまいます。

類同の要因
方向
同じ線であっても、その方向によって私たちが感じる印象は変わります。
方向による印象
方向による印象の違いは、以下の通りです。
水平線 | 安定感がある、静かで大人しい感じ など |
垂直線 | 平衡・均衡・強力な支柱・威厳・高潔さ など |
斜線 | 不安定感・運動感・緊張感 など |
比率
黄金比
古来から最も美しい比率として利用されてきたものに黄金比があります。
ギリシャ人は、黄金比を壺や神殿など、さまざまなデザインに適用していました。
プロポーション
人間のプロポーションは、頭と全身のバランスのことを言います。
頭が相対的に大きいと全体的に子どもっぽく、未成熟な印象をあたえやすいとされています。
【プロポーションに関する偉人】
芸術の世界でプロポーションが最も問題にされたのは、ルネサンスのころでした。
ポリュクレイトス | 7頭身が理想とした。ギリシャの彫刻家 |
リュシッポス | 8頭身を理想とした。ギリシャの彫刻家。 |
レオナルドダヴィンチ | 「水平に伸ばした手の長さと身長は等しい」という人体のプロポーションのカノン(基準)を残した |
ヘアバランス
理想のヘアバランスとは、普遍性(変わらないもの)と時代性(変わるもの)の両面によって形成されます。
つまりヘアバランスは、頭部、顔面の骨格に必ず関わるという点において科学的な普遍性をもち、その時代の価値観や流行を反映した時代性をもちます。
シンメトリー
1本の線や1つの点を中心に、対称に図形が配置されているもの。
自然界の生物はほとんどが左右対称型であり、原始の時代から、人はシンメトリーを愛好してきました。
シンメトリーは、整然と安定した印象や、快感をあたえますが、動きや、緊張感に欠けるという一面もあります。
アシンメトリー
あえてシンメトリーを崩して、左右非対称にしたもの。
アシンメトリーは、芸術や美容の世界で行われることが多い。
造園では、フランスの庭園などがシンメトリーの美を目指しているのに対し、日本庭園ではシンメトリーを徹底的に嫌います。
バランス
バランスとは、「釣り合い」「均衡」「均整」を意味します。
バランスには、シンメトリーバランス・アシンメトリーバランス・アンバランスがあります。
バランスの種類
シンメトリーバランス | 左右がまったく同じであるもの。
静かで安定感が強いものになる。 |
アシンメトリーバランス | 左右が同じでなくても、中心線からの距離や大きさ重さを工夫することにより、バランスをとったもの。 |
アンバランス | バランスがくずれたもの。
安定感を欠き、緊張感を生み出す。 |
調和(ハーモニー)と対比(コントラスト)
調和(ハーモニー)
調和(ハーモニー)とは、2つ以上の要素が響きあい融合して、 1つの「美」をつくり出すことをいいます。
対比(コントラスト)
対比(コントラスト)は、デザインの中の色や形などのぶつかりあいを言います。
- 着物にレースの襟などを合わせる
- 色の明度さ・青と黄などの色相対比
- ストレートとウエーブのテクスチャー対比
など
リズム
デザインにおいて、パターンが周期的に繰り返されるときに生じるもののこと。
ヘアスタイルでの例)
- 三つ編み
- カーリーヘアなど
【機能】
躍動感を与え、繰り返しによって形の印象を変える。
まとめ問題
①線をさまざまな形に配置して錯覚を生じさせるものを、化学的錯視という。
②幾何学的錯視には、距離・大きさに関する錯視と角度・方向に関する錯視がある。
③ボリュームの大きいヘアスタイルに囲まれた顔がボリュームの小さいヘアスタイルの場合より小さく感じるのは、大きさの対比現象によるものである。
④平面的に画かれたものを立体的に見せる手法の1つに、陰影をつけるという方法がある。
正解①
線をさまざまな形に配置して錯覚を生じさせるものを、幾何学的錯視という。幾何学的錯視には、分割距離錯視・ポンゾ錯視・大きさの対比現象・ツェルナー錯視などがあります。