皮膚疾患の概要と種類
皮膚疾患とは?
正常な皮膚の状態が崩れた状態の事を皮膚疾患という。
発疹
発疹とは?
発疹とは、目で見たり手で触って分かる皮膚の異常のことです。原発疹と続発疹があります。
発疹には種どんな種類がある?
原発疹と続発疹がある
原発疹とは?
発疹のうち健康な皮膚に最初に現れる発疹を原発疹という。
続発疹には次のようなものがあります。
- 斑
- 丘疹(きゅうしん)
- 結節
- 小水疱
- 水疱
- 膿疱(のうほう)
- 嚢腫(のうしゅ)
- 蕁麻疹(じんましん)・膨疹(ぼうしん)
斑
・・・斑とは、皮膚異常のうち、目で見て分かるが、手で触っても分からないもののことを言う。局所的に現れます。斑(まだら)模様
斑には
- 血行の異常によるもの
- 皮膚の色素変化によるもの
がある
<血行の異常によるもの>
紅斑(こうはん)…血管の拡張・充血によって生じる紅色の斑。紅斑を生じる事を発赤という。
紫斑(しはん)…皮膚内の出血による紫色の斑
<皮膚色素の異常によるもの>
白斑…皮膚の色素なくなって生じる白色の斑
色素斑…皮膚の色素が増加し、黒、茶色などになった斑
丘疹(きゅうしん)
・・・皮膚表面から隆起する直径0.5cm未満の発疹
結節
・・・皮膚から隆起する直径0.5cm以上の発疹。皮膚内・皮下でも現れます。直径3.5cm以上のものは腫瘤と呼ばれる
小水疱
・・・有棘層内、表皮のすぐ下などにでき、澄んだ液の入った半球上に隆起する発疹。直径0.5cm未満のものを言う。
水疱
・・・小水疱と特徴は同じで、直径0.5cm以上のもの
膿疱(のうほう)
・・・小水疱、水疱の中身が膿汁(うみ)で黄色く濁ったもの
嚢腫(のうしゅ)
・・・真皮内に生じた壁を持った嚢。嚢とは『ふくろ』という意味。中身は液、脂肪、角質などさまざま。
蕁麻疹(じんましん)・膨疹(ぼうしん)
・・・真皮の上層、表皮の狭い範囲に浮腫ができて皮膚が隆起したもの
表皮・真皮・皮下組織はどこ?
続発疹とは?
・・・原発疹が変化して生じたもの、原発疹に引き続いて現れる発疹。
続発疹には次のようなものがあります。
- 表皮剥離
- 糜爛(びらん)
- 潰瘍(かいよう)
- 膿瘍(のうよう)
- 亀裂(きれつ)
- 鱗屑(りんせつ)
- 痂皮(かひ)
- 胼胝(べんち)
- 癒痕(はんこん)
- 萎縮(いしゅく)
- 色素沈着
表皮剥離
かき傷によって生じる表皮の欠損(すり傷)。
糜爛(びらん)
小水疱、水疱あるいは膿疱が破れて生じます。有棘層までの欠損で、あとを残さずに治ます。ただれた状態のこと
潰瘍(かいよう)
皮膚の欠損が糜爛より深く、真皮から皮下組織に及ぶもの。潰瘍は肉芽(にくげ)組織でおき換えられた後に治るので、傷あとが残ます。
膿瘍(のうよう)
真皮あるいは皮下組織内にうみのたまったもの。
亀裂(きれつ)
表皮の深層あるいは真皮の上層に達する線状の裂け目のこと。浅い亀裂では表皮だけが裂け、出血しない。深い亀裂では真皮まで裂けるので、アカギレのときのように出血します。
鱗屑(りんせつ)
角質層の上層がウロコのようになって落ちるもの。生理的にはほとんど目に見えない小片の状態で落ちます。
痂皮(かひ)
血液やリンパ、あるいはうみが乾いて固まって生じるもの。一般的にかさぶたと呼ばれるもの
胼胝(べんち)
角質が増殖してできる局所的にかたい平らな隆起のことをいう。タコはこの一種です。
癒痕(はんこん)
潰瘍などの皮膚の欠損部が肉芽組織で補われ、その表面が再生表皮で覆われて治った状態。
萎縮(いしゅく)
皮膚組織が全体として薄くなったもので、皮膚の表面に細公かいしわができて、一種の光沢があります。
色素沈着
皮膚が褐色または黒色になったもの。一時的なものと持続的なものとがあります。
皮膚疾患の原因
皮膚疾患の内因と原因?
皮膚の病気、すなわち皮膚疾患の原因にはいろいろなものがあります。
原因が体の内部にあるものを内因といい、原因が体の外部にあるものを外因という。
内因
ビタミン不足やホルモン異常、体内の異変によるものなどがあげられます。
外因
原因が体の外部にあるもの。いろいろな機械的刺激、動物性、植物性、毒物、光線、温熱、寒冷などの刺激、細菌、原虫、真薗、ウイルス、寄生生物によるものなどがあげられます。
アレルギー現象とは?
アレルギー現象とは、大部分の人には無害である物質が、一部の人に強い炎症を起こす現象のこと。
アレルギーはなぜ起こる?
物質が皮膚に付着し、経皮吸収されると、一部のアレルギー体質の人は、その物質に対して反応する抗体という物質をつくます。いったんつくられると、その後、以前経皮吸収した物質が再びその人の皮膚に入ったときに、そこで抗体が結合して、強い炎症を起こすようになります。これがアレルギーです。
アレルギー用語集
抗原・感作物質…抗体をつくらせる物質
感作…体内に液性抗体、またはその抗原に反応するリンパ球ができると、その物質で感作されたという。
接触皮膚炎(カブレ) …アレルギーのうち、直接皮膚に作用して起こる遅延型反応のこと
奪麻疹…消化管や気道、皮膚から直接体内に入ったもの、あるいは体内の物質代謝、病変によって発生した物質によって起こる即時型反応のこと
薬疹…蕁麻疹のうち、内服あるいは注射した薬剤によって起こったもののこと
皮膚疾患の治療法
皮膚疾患の治療法の分類は?
皮膚疾患の治療法としては、薬の内服、注射、食事療法などによる全身療法と、病変部を外部から治療する局所療法があります。
皮膚疾患の治療法は具体的にどんなものがある?
具体的には、外用療法、外科的療法、理学的療法、凍結療法、電気療法、光線療法、放射線療法などがあります。
皮膚炎と疾患・蕁麻疹・薬疹
接触皮膚炎(カブレ)とは?
外部からの種々の化学物質や薬物などが皮膚に接触したために起こる皮膚の炎症。
カブレを起こす物質の作用は、大きく分けると2つあり、一次性刺激物質によるものとアレルギーによるものです。
一次性刺激物質によるカブレとは?
そのものが皮膚にとって刺激物、毒物のため、この物質が皮膚に触れると、大部分の人が皮膚に炎症を起こすものがあります。これらのものは一次性刺激物質とよばれています。
合成洗剤やパーマネントウエーブ用剤の第1剤などは刺激物質のため、濃度が高ければ高いほど、刺激が強くかぶれやすい。使用時は所定の濃度に薄めなければなりません。
また、身体の部位によっても違いがあり、例えば、頭毛の生えている皮膚ではカブレが起こりにくく、一方、上眼瞼(上まぶた)や指間、股や陰部はかぶれやすい。
アレルギーによるカブレ発症の流れは?
<アレルギーによるカブレ発症の流れ>
表皮の中に侵入してきた抗原物質(アレルゲン)を
↓
表皮内のランゲルハンス細胞が取り込んで処理し、
↓
Tリンパ球に抗原情報を伝え、異物を拒絶する感作リンパ球へ変容させます。
↓
再び同様の抗原物質が皮膚表面に侵入してきたときに、感作を受けたTリンパ球が侵入してきた抗原と反応して、リンホカインという活性物質を放出します。
↓
リンホカインは、細胞組織内に作用して、皮膚炎を発症させます。
ランゲルハンス細胞とは?
Tリンパ球とは?
アレルギーによるカブレの種類にはどんなものがある?
- 化粧カブレ
- ベルロック皮膚炎(頸飾り様皮膚炎)
- 染毛剤によるカブレ
- ラテックスアレルギー
日光皮膚炎(日焼け)
皮膚を日光にさらすと起こる皮膚炎。露出部位で直射日光を受ける部位に起こることが特徴です。
小児湿疹
乳幼児にみられる湿疹で、生後間もなく、あるいは数力月後から始まる湿疹。非常に多い。大半は間もなく治る
アトピー性皮膚炎
生まれつき皮膚のバリア機能が低下して、後天的にさまざまな刺激因子に対するアレルギーが関与して、強いかゆみをともなう湿疹皮膚炎が生じます。ストレスで悪化することも多い。さまざまな刺激因子とは、夏の発汗、冬の乾燥、ダニ、ハウスダスト(室内塵)など)
脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)
ふけ症や、あぶら性の人に多い皮膚炎で、頭部や額から眉間部、鼻などに黄色っぽい紅斑五藷を生じ、落屑(鱗屑が剥がれ落ちた状態)がみられる皮膚炎
尋常性乾癬(じんじょうせんかんせん)
脂漏性皮膚炎と似ていて、青年から中年にかけて発症し、症状が重症化すると関節痛をともなったり膿疱化したりする疾患。
ウィダール苔藉(たいせん)
主として成人女性の後頸部、側頸部、肘、膝にでき、強いかゆみのある円形の発疹ができるもの。かたい丘疹の集まり
蕁麻疹(じんましん)
皮膚にかゆみの強い膨疹(ぼうしん)を生じる疾患で、個々の発疹は、30分〜3時間で自然に消え、また新しいものができるもの。
原因
急性のものでは、ソバや魚貝類などの食物アレルギーや、アスピリンなどの薬によることもあります。慢性のものでは、食品添加物、花粉、ダニ、日光や、機械的外力の刺激によるものなどがあります。
薬疹
薬物の内服、吸入、座薬、口内錠(飲み薬)、浣腸、または注射によって起こる皮膚炎。
薬疹には、
- 全身に広がるもの
- 一定の部位にのみ現れるものがあります。
一定の部位にのみ現れるものは固定薬疹とよばれ、治ったのちに色素沈着を残す。
酒皶様皮膚炎(しゅさようひふえん)
口囲皮膚炎ともよばれる、長期間のステロイド使用により、顔、特に口のまわりに毛細血管の拡張が起こるもの。ステロイドを中止すれば、数力月で自然治癒します。
湿疹患のケアは?
皮膚炎では、その部位の皮膚は非常に過敏になっているので、パーマネントウエーブをかけたり、アルコールの入ったアストリンゼント類を塗ったり、頭部や顔面ではレザーをあてると悪い影響があります。
また、食事の際は刺激物をとらないようにし、便秘をしないように注意します。
入浴に際しては、患部に石けんを使用することはよいが、刺激の少ないものを選んで用いるようにして、入浴後は外用薬を塗ったほうがいい。