皮膚と体の健康状態の関係
健康状態 | 皮膚の状態 |
健康 | 血色が良く、つやがある |
睡眠不足・疲労 | 青ざめていて、つやがない |
貧血 | 皮膚が青白い |
栄養失調 | 皮下脂肪は減少し、皮膚がむくむ |
胃腸不良・便秘 | ニキビ・蕁麻疹・湿疹の悪化 |
胃ガン | 皮膚が暗黒色になり、シミができやすい |
チアノーゼ(血液中の酸素欠乏) | 皮膚が紫がかる |
心臓不良 | (下肢から)皮膚がむくむ |
腎臓が悪い |
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肝臓不良(黄疸) |
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膵臓不良・糖尿病 |
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皮膚と精神状態の関係
精神状態 | 皮膚の状態 |
健康 | 血色が良く、つやがある |
心配・疲労 | 血色が悪く、つやがない |
強いストレス | ホルモンの分泌が狂い、月経が止まったり、アトピー性皮膚炎が悪化するなど |
緊張 | 腋窩・手掌・足底の汗の分泌が多くなります。多汗症の人は自分の汗を気にするとまします汗の分泌が多くなります。 |
皮膚と栄養状態の関係
皮膚の真の栄養は何から得られる?
皮膚の真の栄養は、皮膚表面から薬品や化粧品から得られるものではなく、体の内から得られるものです。
栄養摂取において大切なこと
- 胃腸を健康に保つために規則正しい生活を送り、睡眠、休養をとる
- タンパク質、脂肪、炭水化物、栄養素をバランスよく接種する
- カルシウム、ナトリウム、リンなどの無機質、ビタミン類を適度に接種する
皮膚と水分・油分の関係
しわ
老化にともなって皮膚の張りと弾力が失われると、たるみが生じてしわになります。
笑ったり眉間にしわを寄せたりすると、表情の動きにより一時的に顔にしわができるが、加齢や光老化(紫外線による皮膚の老化)により皮膚の弾力性、柔軟性が低下すると、しわの跡がもとに戻らないしわになります。
しわの原因の多くは、
- 表皮の乾燥
- 真皮の細胞間基質や膠原線維、弾性線維の減少
- 組成変化、変性
- 皮下脂肪の萎縮や下垂
- 表情筋の収縮や弛緩などによって皮膚にたるみが生じてできる
などです。
小じわとは?
小じわは浅く、表皮と真皮の間の場所にできます。その発生には表皮が大きく関与しています。乾燥や紫外線によって表皮が厚くなったり、柔軟性がなくなったりすると小じわが生じるからです。
なので、乾燥を防ぎ、硬くなった角質層をやわらかくすることが重要であり、保湿剤や角質層の重層化を防ぐための角質層剥離剤、抗酸化剤が配合された化粧品の使用が有効とされています。
小じわ予防に有効なもの
- 保湿剤
- 角質層剥離剤
- 抗酸化剤
が配合された化粧品
大きなしわ
長年の負荷によって生じます。原因は、乾燥や紫外線によって真皮内のコラーゲンやエラスチン繊維が変性して真皮の可動が悪くなったり、繊維の張力が低下し、不均一になったりするからです。
たるみ
皮膚のたるみの原因は?
皮膚のたるみは、皮膚、筋肉及び皮下脂肪の加齢による変化が要因となり、この3つの力学的なバランスが崩れたときに生じます。骨、筋肉、皮下脂肪の体積の減少と皮膚の弾力低下、皮下脂肪と皮膚との接合の衰え、局所的に皮下脂肪が多くなったりすることが理由としてあげられます。
皮膚のたるみの予防策は?
皮膚では、真皮層が皮膚の弾力性、はり等の強度を保っています。急に太ったり痩せたりしないことと、皮膚の弾力を保つためにしわの予防を怠らないことが大切です。
たるみ予防の有効手段
- 急に太ったり痩せたりしないこと
- しわの予防を怠らないこと
シミ
シミとは?
シミは、顔や手にできる黒褐色の色素斑をいう。
シミの原因は?
シミは紫外線照射によってメラニン細胞数の変化や活性化を引き起こし、メラニンが増加することによって生じます。
皮膚が褐色となるシミには、どんなものがある?
皮膚が褐色となるシミには、
- 肝斑
- 老人性色素斑
- 炎症性色素沈着
があります。
シミの予防策は?
予防策
- 乾燥の予防と紫外線を防ぐこと
- サンスクリーン剤による紫外線の防御
乾皮
乾皮とは?
乾皮とは、保水機能が崩れ、乾燥した状態の皮膚をいう。
乾皮と呼ばれるものには何がある?
- 老人性乾皮症
- 手荒れ
- 口唇荒れ
などがあります。
健康な肌の水分量は、角質層の表面で何%?角質層より内部の表皮や真皮では何%?
健康な肌の状態の場合、水分量は角質層の表面で15~20%、角質層より内部の表皮や真皮では60~70%になります。角質層と内部でこれだけの差が出るのは、角質層が水分の通過に対し、強力なバリア機能をもっているからです。
水勾配とは?
角質層は保水機能をもち、真皮から角質層に行くにしたがって水は少なくなっていく。これを水勾配という。
角質層には保水機能があり、角質層と結合した水と自由な水があります。
天然保湿因子(naturai moisturizing factor・ ・NMF)
角質層のアミノ酸(水分結合物質)のこと。
脂性肌とは?
皮脂の分泌量が過剰に多い肌を脂性肌という。
敏感肌とは?
皮膚の感受性が増大し、通常では起こり得ない物質に対しても、かゆみや痛みを感じる肌。
皮膚とホルモン
皮膚は、ホルモンによって非常に強い影響を受けます。特に、思春期、更年期等における皮膚の変化の中には、ホルモンと密接な関係があるものが多い
男性ホルモン
男性ホルモンは、何腺の発育を促す?
思春期になると、男性ホルモンの影響によって、脂腺が発育する
それにより、思春期以後になって、あぶら性の皮膚に傾いてきたり、ニキビや脂漏が目立ってきます。角質層も厚くなる
男性の胸毛、髭、下股及び腋窩の毛や陰毛などは男性ホルモンの刺激によって発育します。
男性ホルモンは男性、女性でどこから分泌される?
男性ホルモンは、男性では主に精巣から、女性では副腎皮質から分泌されます。
男性ホルモンのはたらきは?
男性ホルモンには、
- 体内に取り入れたタンパク質を同化して、体成分の筋肉成分として合成するはたらき
- 病後や体力を消耗した時の回復
などの働きがあります。
女性ホルモンと皮膚の関係
更年期の皮膚の変化や、月経周期にともなう皮膚変化(性周期による皮膚変化)は、
- 卵胞ホルモンの分泌
- 黄体ホルモンの分泌
に関係します。
更年期の女性の皮膚の変化にはどんなものがある?
女性に男性的皮膚の変化が現れます。
- 頭部のふけが増加
- ひげ、毛が濃くなる
- 脂漏性皮膚炎やウィダール苔癬(たいせん)などが起こりやすくなる
などのことです。
それ以外には、以下のようなものがあります。
- 自律神経が不安定になる
- 発汗しやすくなる
- 精神状態が不安定になる
月経周期にともなう皮膚の変化にはどんなものがある?
月経の1週間前、2~3日前ごろから、変化が起こり
- 皮膚の水分量が増加
- 光線に対して過敏になる
- 目の周せん囲の色調(くま)が濃くなったりします。
- 月経中はアポクリン腺の活動が盛んになる
などの変化が起こります。
月経の時期にはパーマネントウエーブや染毛はうまくいかないことが多いのも、このためです。妊娠によっても、皮膚に変化がみられます。
妊娠にともなう皮膚の変化にはどんなものがある?
妊娠による皮膚変化は、
- 色素沈着(乳輪・乳頭・陰部・へそ・顔面のシミなど)
- 手掌の紅斑
- 多汗症
- 妊娠線条の発生
などがあります。
副腎皮質ホルモンと皮膚の関係
副腎皮質は、何をしている?
副腎皮質は、私たちの体がいろいろな刺激を受けた場合に人体の健康を守るのに必要なホルモンを分泌しています。
副腎皮質ホルモンの分泌が減少すると、どんな病気にかかる?
副腎皮質ホルモンの分泌が減少すると、アジソン病になります。
副腎皮質ホルモンの分泌が増加すると、どんな変化が起こる?
副腎皮質ホルモンの分泌が増加すると、女性は男性ホルモンが活発になり、多毛症になったりします。
アジソン病とは?
皮膚全体のほかに口腔粘膜にも色素が増加して黒くなり、血圧か下がり、筋肉の力が弱くなり、腋毛(わき)や陰毛が消失します。血中のナトリウムや水分が減少し、カリウムが増加します。このため、皮膚は刺激を受けやすくなる病気
脂腺とホルモンの関係
思春期になると、脂腺のはたらきが盛んになり、皮脂の分泌が増加し、身体の各部位による皮脂の分泌量の違いが目立ってきます。
男性ホルモンが増加するためです。
毛とホルモンの関係
硬毛の発生は遺伝的因子もあるが、一定部位の毛は、特に性ホルモンと密接な関係があります。
年齢の推移による男女間の毛の変化をみると、
男女とも思春期になると、
- 腋毛
- 陰毛
が発生してきます。
男性ではまた、思春期以後に第二次性徴の現れとして、
- 顎
- 胸
- 手足(四肢)
に硬毛が発生するが、これは女性にはない。
男性型脱毛症
年齢が進むにつれて、男性では前頭部から頭頂部にわたって脱毛が目立ち、男性型脱毛症となることもあります。
この毛の変化は、遺伝因子・男性ホルモン・年齢という3つの因子で起こる