<<チェックポイント>>
衛生管理では、
① 公衆衛生・環境衛生
② 感染症
③ 衛生管理技術
が【重点項目】とされています。要チェックです。
空気・飛沫を介して感染する感染症
空気・飛沫を介して感染する感染症には、どんなものがある?
- 結核
- ジフテリア
- 重症急性呼吸器症候群(SARS)
- 中東呼吸器症候群(MERS)
- 鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)
- 麻しん
- 風しん
- 百日せき
など
結核
結核の特徴は?
- 古くから知られる国民病のひとつ
- わが国の結核患者数(罹患率)は、欧米先進諸国に比べると高い。
- 1935~1950年の15年間、死亡者数の首位であったが、第二次世界大戦後は、健康診査の導入・医療技術の向上・生活環境の改善などによって死亡率は急激に低下した。
- 健康診断で患者発見のため、高齢者ならびに結核発症の危険が高い住民層などを対象に定期のX線検査が行われています。
- 2015年のわが国の新たに登録された患者数は、2万人弱です。
- わが国の現在の死亡率のピークは、高齢層です。
結核は、何類感染症?
二類感染症。
結核の症状は?
- 早期症状・・・微熱・寝汗・咳や痰…など。無症状の場合もある
- 骨や関節、腎臓の結核もあるが、圧倒的に肺結核が多い。肺に空洞ができ、その中で結核菌が増殖します。そして痰とともに結核菌を周囲にまき散らす。また、空洞部の壁の血管は破れやすいので、血痰や喀血が起こりやすい。
- 結核は、菌が定着した場所によって病変を起こす。骨結核や結核性髄膜炎、関節結核、などが挙げられます。
結核の病原体は?
- 結核菌
結核の感染源は?
- ほとんどの場合、結核患者の咳などにより飛散する飛沫核を吸い込むことによって起こります。
結核の感染経路は?
- 飛沫核感染(エアゾール感染)…上述のとおり。
- 塵埃感染…痰などが乾燥して塵埃に付着して感染するが、頻度は少ない。
結核の予防対策は?
- ①健康診断…高齢者や結核発病の危険性が高い住民層などを対象に、定期の健康診断が行われています。理容・美容の従事者に対しては、定期外の健康診断が行われています。
定期外の健康診断
- 一番初めに発病した患者が感染源となって、その人の接触者に感染させた疑いがある場合に感染の有無等を把握するためと、一番初めに発病した患者に感染させたと疑われる人を発見するために行う健康診断です。
- これによって感染者の発病予防、発病者と感染源を早く見つけることを目的としています。
- ②予防接種…生後1歳未満の乳児にBCGワクチンを接種させます。
- ③患者管理…患者の環境などを的確に把握します。これにより、正しい生活指導と医療を行い、早めの社会復帰を目指す。他人に感染させるおそれが著しいと認められる患者は、接客業などへの従業を禁止しています。(理容師・美容師も含まれています。)
- ④治療…特に感染させるおそれの高い者は入院させ、治療を行う。
結核まとめ問題
結核に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) 感染経路は、主に飛沫核感染です。
(2) 肺以外の場所では病変を起こさない。
(3) 2015年のわが国の新たに登録された患者数は、2,000人弱です。
(4) わが国の現在の死亡率のビークは、青年層である
正解(1)
(2) 肺以外の場所でも病変は起こる。
(3) 2015年のわが国の新たに登録された患者数は、2,0000人弱です。
(4) わが国の現在の死亡率のビークは、高齢者である
結核に関する次の記述のうち誤っているものはどれか。
(1) 健康診断で患者発見のため、高齢者ならびに結核発症の危険が高い住民層などを対象に定期ののX線検査が行われます。
(2) 予防接種は種痘です。
(3) 平成27年のわが国における結核による死亡者数は、年間2千人弱であった。
(4) 肺以外の臓器もおかされます。
正解(2) ・・・結核の予防接種は、BCGワクチンの接種があります。種痘は、痘そうの予防接種です。
結核に関する次の記述のうち,間違っているものはどれか。
(1) 感染経路は、主に飛沫核感染です。
(2) 理容美容の従事者に対しては,定期外の健康診断が行われています。
(3) 定期の予防接種で生後1年未満の乳児にBCGワクチンを接種する
(4) わが国の結核患者数(罹患率)は、欧米先進諸国に比べると低い。
正解(4)・・・わが国の結核患者数(罹患率)は、欧米先進諸国に比べると高い。
ジフテリア
ジフテリアは、何類感染症?
二類感染症。
ジフテリアの、2000年以降の発生状況は?
- 第二次世界大戦直後、日本でも数万人の患者が発生したが予防接種の普及により減少し、2000年以降の発生はない。
ジフテリアの、症状・病原体・感染源・感染経路は?
- ジフテリア菌を飛沫により吸入することにより感染。
- 気道粘膜で増殖し、ジフテリア菌が産生する外毒素(ジフテリア毒素)により咽頭炎などの症状を起こす。
- 感染源はヒト。
- 感染経路は飛沫感染です。
ジフテリアの、予防対策は?
- トキソイドワクチンの予防接種が有効。DPT-四種混合ワクチン及びジフテリアー破傷風二種混合ワクチンとして定期接種されています。
重症急性呼吸器症候群(SARS)・中東呼吸器症候群(MERS)
SARSとは?
- SARSは、SARSコロナウイルスによって引き起こされるウイルス性の呼吸器疾患。重症急性呼吸器症候群。
- SARSは、現在患者発見は見られないが、MERSは現在も感染が確認されています。
MERSとは?
- MERSは、MERSコロナウイルスによるもの。サウジアラビアやアラブ首長国連邦など中東地域で広く発生している呼吸器感染症。
SARS・MERSは、何類感染症?
- 二類感染症。
SARS・MERSの症状は?
- 発熱・咳などで発症し、5日目頃で息切れや呼吸困難などの肺炎症状が出現することが多い。
- 致死率はSARSが10%、MERSが30%程度。
SARS・MERSの病原体・感染源・感染経路は?
- 両方とも、それまで知られていなかったコロナウイルスが病原微生物であった。
- コウモリ由来であるが、コウモリからヒトへ感染が広がるには、SARSではハクビシン(アライグマやタヌキによく似ている動物)、MERSではヒトコブラクダの関与が疑われています。
- 感染経路は、患者の家族や医療関係者など、ケアに関わった者に生じやすいことがわかっています。
SARS・MERSの予防対策は?
- 感染の疑いがあるものと接する際は、マスクを着用し、手指消毒を行う。
- 現在もMERS患者が発生している地域に渡航する際には、ヒトコブラクダとの接触を避けることが望ましい。
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)(重要)
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)の特徴は?
- A型インフルエンザウイルスが鳥類に感染して起きる鳥類の感染症。
- 海外で確認された患者のほとんどは、鳥インフルエンザに感染した家禽や死んだ家禽と接触があった者。(家禽(かきん)…その肉・卵・羽毛などを利用するために飼育する鳥の総称。)
- 鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)は、中国、中東アジアで多く発生しています。
- 日本国内での感染者はまだ確認されていない。
- 鳥から鳥への感染症で、鳥からヒトに感染する例は報告されているが、ヒトからヒトに感染することは、今のところは起こっていない。
- 現在のところ、ヒトーヒト感染はきわめてまれであるとされている。
- 参照:厚生労働省(鳥インフルエンザに関するQ&A)
- 現在、この鳥インフルエンザがヒトからヒトへ感染する形に変異し、新型インフルエンザとして世界的に大流行することが懸念されている。
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)は、何類感染症?
二類感染症。
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)の症状は?
- 鳥インフルエンザは、発熱や咳などの一般的なインフルエンザと同じ症状に加え、下痢を起こした症例もあった。
- 致死率が極めて高く、肺炎が主な死因となっています。
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)の病原体・感染源・感染経路は?
- 病原体は鳥インフルエンザウイルス。
- 感染源は感染したニワトリなど。
- ヒトへの感染については、罹患したニワトリなどと接触し、羽や粉末状になった糞を吸い込むなどして大量のウイルスがヒトの体内に入った場合、ごくまれに発病すると考えられています。
鳥インフルエンザ(H5N1型及びH7N9型)の予防対策は?(重要)
- 衰弱又は死亡した野鳥には直接触れないこと。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)の特徴は?
- ここでいうインフルエンザとはいわゆる季節性のインフルエンザのことです。
- 日本では毎年のように多くの患者の発生があります。秋・冬・春先にかけて流行することが多い。
- インフルエンザウイルスは、宿主細胞内に侵入後、増殖し、再び細胞外に遊出します。インフルエンザウイルスは、ヒト以外の動物にも感染します。
- インフルエンザウイルスは、大きな抗原変異が起きることがあります。
- インフルエンザは、患者の分泌物に汚染された器具を介して感染することがあります。
- インフルエンザワクチン接種後は、効果が現れるまでに、2〜3週間必要
- インフルエンザ(五類)は、診断した医師による全数届出対象の感染症ではない。定点報告です。(医療機関の中から選定し、協力していただいている定点医療機関からのみ報告を行うこと)
- 全数届出とは、すべての医療機関に報告義務があるもののことです。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)は、何類感染症?
- 五類感染症。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)の潜伏期間は?(重要)
- インフルエンザの潜伏期間は、1~3日です。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)の症状は?
- 1~3日の潜伏期の後、寒気・震えとともに38~40℃に発熱。
- 頭痛や全身倦怠感、食欲不振、のどの痛み、咳などの症状があります。
- ふつう1週間で回復するが、肺炎を併発することがあります。
- 特に高齢者が肺炎を併発すると重症になりやすく、死亡することもあります。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)の病原体・感染源・感染経路は?
- 病原体はインフルエンザウイルス。A型・B型・C型があります。
- 感染源は患者やキャリアの分泌液などで、飛沫感染。
- 患者の分泌物に汚染された器物を介しても感染します。
インフルエンザ(鳥および新型以外のもの)の予防対策は?
- 混雑を避けます。
- 手洗いうがいの励行。マスクの着用。
- 予防接種を受けます。
- 流行の状況に応じて学級閉鎖が行われることもあります。
新型インフルエンザとは?
- インフルエンザウイルスのうち、ヒトーヒト間の伝染能力を新たに有するようになったインフルエンザウイルスを病原体とするインフルエンザウイルス感染症です。
- 新型インフルエンザウイルスは人間界にとって未知のウイルスなので、一般の人は免疫を持っていない。そのため、急速な世界的大流行を引き起こす危険性があります。
麻疹
麻疹は、何類感染症?
- 五類感染症。別名、はしかともいう。
麻疹の潜伏期間は?(重要)
- 麻しんの潜伏期間は、10~14日です。
麻疹の症状は?
- 麻しんは、10~14日の潜伏期の後、発熱、鼻水、激しい咳、目の充血、赤くて痒い発疹などが見られます。
- 38度程度の発熱や風邪のような症状が2~3日続き、少し解熱した後、半日くらいで再び39度以上の高熱と発疹が出現します。
- 発疹は耳の後ろや顔から出始め、2日後には全身に小さな発疹が広がます。
- 高熱は3~4日続く。
- 合併症がなければ、7~10日後には回復します。
- コプリック班(やや隆起した1mm程度の小さな白色の小さな斑点のこと)が特徴です。
麻疹の病原体・感染源・感染経路は?(重要)
- 病原体は麻疹ウイルス。
- 感染源・経路は患者の鼻や喉の分泌物により空気感染・飛沫感染・接触感染。
- 感染力は非常に強い。
麻疹の予防対策は?
定期の予防接種を受けます。
百日せき
百日せきは、何類感染症?
- 五類感染症。
百日せきの特徴は?
- 4~5歳以下に多発する(高い罹患率を示す)。
- 特有のけいれん性の咳発作を特徴とする急性気道感染症。
- 母親からの免疫が十分でなく、乳児期早期から罹患する可能性があり、1歳以下の乳児、特に生後6カ月以下では死に至る危険性も高い。
- 百日せきワクチンを含むDPT三種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風)あるいはDPT-IPV四種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・不活化ポリオ)接種はわが国を含めて世界各国で実施されており、その普及とともに各国で百日咳の発生数は激減しています。
- しかし、ワクチン接種を行っていない人や接種後年数が経過し、免疫が減衰した人での発病はわが国でも見られており、世界各国でいまだ多くの流行が発生しています。
百日せきの潜伏期間は?
- 百日せきの潜伏期間は、通常7~10日間程度です。
百日せきの症状は?
- 通常7~10日間程度の潜伏期を経て、普通のかぜ症状で始まり、次第に咳の回数が増えて程度も激しくなります。
- 一般的には4週間程度このような症状が続いて次第に発作が少なくなり、回復に向かう。
百日せきの病原体・感染源・感染経路は?
- 病原体は百日咳菌。
- 感染源・経路は患者及び保菌者の咽頭や気道粘膜の分泌物による飛沫感染により感染します。また、分泌物で汚染された器物を介しても感染します。
百日せきの予防対策は?
- 定期の予防接種を受けます。
- 患者の鼻腔・咽頭・気管からの分泌物や分泌物により汚染された器物の消毒。
- できるだけ患者と物理的な距離を取ること。小児は特に注意します。
風疹
風疹は、何類感染症?
- 五類感染症。
風疹の特徴は?
- 三日はしかともいう。
- 1990年代前半までの我が国では、5~6年ごとに大規模な全国流行がみられていた。
- 男女ともがワクチンを受けて、まず風疹の流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要です。
- 妊娠初期の妊婦が罹患すると、先天性風しん症候群の子供が生まれる危険性があります。
風疹の潜伏期間は?
- 風しんの潜伏期間は、2~3週間です。
風疹の症状は?
- 2~3週間の潜伏期を経て発病。
- 微熱と同時に顔や体、手足に発疹が出ます。(顔が多い)
- 麻疹の発疹に似ているが数は少なく、1~2日で消失し、跡も残らない。頸部や耳の後ろのリンパ節が腫れることが多い。
風疹の病原体・感染源・感染経路は?
- 病原体は風疹ウイルス。
- 感染源・経路は、患者の鼻や咽頭の分泌物による飛沫感染。また、分泌物で汚染された器物を介しても感染します。
風疹の予防対策は?
- 定期の予防接種。風しんの定期の予防接種は2回です。