<<チェックポイント>>
衛生管理では、
① 公衆衛生・環境衛生
② 感染症
③ 衛生管理技術
が【重点項目】とされています。要チェックです。
消毒薬の濃度の表し方(①~⑥)
濃度を表す単位は様々だが、すべて「どのくらいの濃さの水溶液なのか」を表す。
①百分率
( 溶質量 / 溶液量 ) × 100 (%)
- 「×100」は、%表記に戻すために用います。
例) 100mlの水の中に、10mlの石けんが溶け込んでいる水溶液
=(10(溶質=石けん) / 100(溶液=水)) × 100
= 10%の石けん水溶液
②百万分率(ppm)
全体を100万としてその中にいくらあるかを表す方法。
- 「100万分の1」の意味の「parts per million」の頭文字をとったもの。
- 「0.0001%の水溶液」は「1ppmの水溶液」
- 「1%の水溶液」は「10,000ppmの水溶液」
( 溶質量 / 溶液量 ) × 1000000 (ppm)
例)「100%の水溶液」 = 「1,000,000ppm(100万ppm)の水溶液」
「5%の水溶液」 = 「50,000ppm(100万 × 0.05)の水溶液」
「5ppmの水溶液」 = 「0.0005%(5÷100万×100)の水溶液」
③質量百分率
g / g (%)
「100gあたり何gか」
(例) 砂糖水 5%
→5gの砂糖が95gの水の中に含まれています。
④体積百分率
→ mℓ / mℓ (%)
「100mlあたり何mlか」
(例) 消毒用エタノール水溶液 76.9%
→76.9mlの消毒用エタノールが100mlの水の中に含まれています。
⑤重量対容量比
→ g / mℓ (%)
「100mlあたり何gか」
例) 逆性石けん水溶液 0.1%
→0.1gの逆性石けんが100mlの水の中に含まれています。
⑥容量対重量比
mℓ / g (%)
「100gあたり何mlか」
消毒薬を使用するための濃度
普段美容所などで使用するために、消毒薬などは水で薄めてから使用します。
- 「希釈」…あるものに水などを入れて薄め、作用を弱めること。
- 消毒用エタノール 76.9~81.4%
- 次亜塩素酸ナトリウム液 0.01~0.1%
- 両性界面活性剤液 0.1~0.2%
- 逆性石けん液 0.1~0.2%
- グルコン酸クロルヘキシジン液 0.05%
美容所における衛生管理技術では、これらの液体はすべてこの濃度の範囲内で使用します。
消毒薬の計算問題
パターン①
以下のうち、正しいものはどれか。
「~%○○水溶液は、~%○○水溶液を~倍に希釈します。」
- 文章中に出てくる数字は3つ。
【例題1】
消毒薬使用液(希釈液)の調製に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)0.1%逆性石けん水溶液は、10%逆性石けん製剤を100倍に希釈します。
(2)0.05%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は、20%グルコン酸クロルヘキシジン製剤を400倍に希釈します。
(3)0.1%両性界面活性剤水溶液は、15%両性界面活性剤製剤を100倍に希釈します。
(4)0.01%次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、5%次亜塩素酸ナトリウム製剤を500倍に希釈します。
【解答】
「原液濃度 ÷ 倍率 = 水溶液濃度」
であれば正しいことになります。
(1)10(%)÷ 100(倍)= 0.1(%) 正
(2)20(%)÷ 400(倍)= 0.05(%) 正
(3)15(%)÷ 100(倍)= 0.15(%) 誤
(4)5 (%) ÷ 500(倍)= 0.01(%) 正
よって、(3)が解答になります。
パターン②
以下のうち、正しいものはどれか。
「~%○○水溶液を~L調製するには、~%逆性石けん製剤~mlを水~mlで希釈します。」
- 文章中に出てくる数字は5つ。
- 使う数字は4つ。最後の「水~mlで希釈します。」の部分は使いません。
【例題2】
理容師法施行規則で規定されている消毒薬水溶液(希釈液)の調整法に
関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)0.1%逆性石けん水溶液を1L調製するには、10%逆性石けん製剤1mlを水999mlで希釈します。
(2)0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L調製するには、5%次亜塩素酸ナトリウム液20mlを水1980mlで希釈します。
(3)0.05%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液を500ml調製するには、5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤1mlを水499mlで希釈します。
(4)0.1%両性界面活性剤水溶液を500ml調製するには、10%両性界面活性剤5mlを水495mlで希釈します。
【解答】
(1)0.1%逆性石けん水溶液を1L調製するには、10%逆性石けん製剤1mlを水999mlで希釈します。
→ ③%逆性石けん水溶液を④L調製するには、①%逆性石けん製剤②mlを水999mlで希釈します。
→ (調整前) ①% × ②ml = (調整後) ③% × ④ml
調整前の濃度(%) × 調整前の量(ml) = 調整後の濃度(%) × 調整後の量(ml)
であれば正しいことになります。
(1)0.1%逆性石けん水溶液を1L調製するには、10%逆性石けん製剤1mlを水999mlで希釈します。
まず、製剤(原液)の量と調整後の量の単位をそろえます。 (1L=1000ml)
1L=1000ml
10(%)×1 (ml)=0.1 (%)× 1000(ml)
10 ≠ 100 ∴誤り
(2)0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2L調製するには、5%次亜塩素酸ナトリウム液20mlを水1980mlで希釈します。
2L=2000ml
5(%)×20(ml)=0.1 (%)× 2000(ml)
100 ≠ 200 ∴誤り
(3)0.05%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液を500ml調製するには、5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤1mlを水499mlで希釈します。
5(%)×1 (ml)≠0.05 (%) × 500(ml)
5 ≠ 25 ∴誤り
(4)0.1%両性界面活性剤水溶液を500ml調製するには、10%両性界面活性剤5mlを水495mlで希釈します。
10(%)×5 (ml)=0.1 (%)× 500(ml)
50 = 50 ∴正しい
よって、(4)が解答になります。
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【例題3】
理容師法施行規則・美容師法施行規則の定められている消毒薬の使用液(希釈液)調整法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は、5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤5mlを水995mlで希釈します。
(2) 両性界面活性剤水溶液は、10%両性界面活性剤製剤1mlを水999mlで希釈します。
(3) エタノール水溶液は、化学薬品としてのエタノール(無水エタノール)400mlを水100mlで希釈します。
(4) 逆性石けん水溶液は、10%逆性石けん製剤の1mlを水499mlで希釈します。
調整前の濃度(%) × 調整前の量(ml) = 調整後の濃度(%) × 調整後の量(ml)
(※以降の計算問題では、「×(かける)」を「・」で表記させていただきます。)
【解答】
(1)グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は、5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤5ml(←これが原液)を水995mlで希釈します。
①調整後の水溶液の量→原液の量と希釈に用いる水の量を足すと求めることができます。(5ml+995ml=1000ml)
②調整後の水溶液の%→この値(Xとする)を求め、実際に美容所で使用できる濃度なのかを確かめていく。(使用可能な濃度であれば正。不可であれば誤。)
→ (調整前) 5 % ・5 ml =(調整後) X % ・ (995+5) ml
→ 25 = 1000X
→ X = 0.025(%)
→グルコン酸クロルヘキシジン液は0.05%なら使用可能なので、この選択肢は誤りになります。
- 消毒用エタノール 76.9~81.4%
- 両性界面活性剤液 0.1~0.2%
- 逆性石けん液 0.1~0.2%
- グルコン酸クロルヘキシジン液 0.05%
(1)グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は、5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤5mlを水995mlで希釈します。
5 (%) ・ 5 (ml) = X (%) ・ 1000 (ml)
25 = 1000X
X = 0.025 (%)
グルコン酸クロルヘキシジン液は、0.05%で使用します。 ∴誤り
(2)両性界面活性剤水溶液は、10%両性界面活性剤製剤1mlを水999mlで希釈します。
10 ・ 1 = X ・ 1000
10 = 1000X
X = 0.01 (%)
両性界面活性剤液は、0.1~0.2%で使用します。 ∴誤り
(3)エタノール水溶液は、化学薬品としてのエタノール(無水エタノール)400mlを水100mlで希釈します。
99.5 ・ 400 = X ・ (400+100)
39800 = 500X
X = 79.6 (%)
消毒用エタノールは、76.9~81.4%で使用します。 ∴正しい
(4)逆性石けん水溶液は、10%逆性石けん製剤の1mlを水499mlで希釈します。
10 ・ 1 = X ・ 500
10 = 500X
X = 0.02 (%)
逆性石けん水溶液は、0.1~0.2%で使用します。 ∴誤り
総まとめ問題
消毒薬使用液の調製法に関する次の文章の( )内に入る数字のうち、正しい組み合わせはどれか。
グルコン酸クロルヘキシジンを5%含有する市販製剤(消毒薬)を用いて、0.05%の 水溶液を作るには、市販製剤 ( A ) mL を、水( B )mLで希釈すればよい。
(1) A:10 B:999
(2) A:50 B:995
(3) A:10 B:990
(4) A:15 B:985
正解(3) ・・・グルコン酸クロルヘキシジンを5%含有する市販製剤(消毒薬)を用いて、0.05%の 水溶液を作るには、市販製剤 ( A:10 ) mL を、水( B:990 )mLで希釈すればよい。
10%逆性石けん製剤を希釈して0.1%逆性石けん水溶液 3Lを調製する場合、必要な水の量はどれか。
(1) 2990mL
(2) 2980mL
(3) 2970mL
(4) 2960mL
正解(3)2970mL
10%逆性石けん製剤を希釈して0.1%逆性石けん水溶液を作るということは、
10% / 0.1% = 希釈倍率100倍
100倍希釈していることになります。
希釈前の10%逆性石けん製剤の量をxと仮定すると、
希釈後の0.1%逆性石けん水溶液は、希釈前(10%逆性石けん製剤の量)の100倍の3000mL(3L)になっているので
100x = 3000
x = 30(mL) =(10%逆性石けん製剤の量)
となるので、3000mL(3L)から、30(mL)を引いた2970mLが希釈に使用した水の量になります。
5%次亜塩素酸ナトリウム製剤を希釈して0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1Lを 調製する場合、必要な次亜塩素酸ナトリウム製剤の量はどれか。
(1) 20mL
(2) 30mL
(3) 40mL
(4) 50mL
正解(1) 20mL
5%次亜塩素酸ナトリウム製剤を希釈して0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を作るということは、
5% / 0.1% = 希釈倍率50倍
50倍希釈していることになります。
xを5%次亜塩素酸ナトリウム製剤の量と仮定すると
0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、希釈前(5%次亜塩素酸ナトリウム製剤)の50倍の1000mL(1L)になっているので、
50x = 1000
x = 20(mL) =(必要な5%次亜塩素酸ナトリウム製剤)
になります。
消毒薬使用(希釈)の調整法に関する次の記のうち、正しいものの組合せはどれか
a 0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液1000mlを作製するためには,5%次亜塩素酸ナトリウム製剤20ml に水980mlを加えます。
b 10%逆性石けん 調剤10mlに水990mlを加えて作割したのは、0.1%逆性石けん水名です。
c 0.2%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液500mlを作製するためには20%グルコン酸クロルヘキシジン10mlに水490mlを加えます。
d 10%両性界面活性剤製剤5mlに水495mlを加えて作製した液は、0.2%両性界面活性剤水溶液です。
(1) aとb (2) bとc (3) cとd (4)aとd
正解 (1)
a・・・(980+20)(ml)/20(ml) = 希釈倍率50倍、5(%)/50(倍) = 0.1(%)
b・・・(990+10)(ml)/10(ml) = 希釈倍率100倍、10(%)/100(倍) = 0.1(%)
c・・・(490+10)(ml)/10(ml) = 希釈倍率50倍、20(%)/50(倍) = 0.4(%)
d・・・(495+5)(ml)/5(ml) = 希釈倍率100倍、10(%)/100(倍) = 0.1(%)
消毒液使用液(希釈液の調製に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
(1) 15%両性界面活性製剤を100倍に希釈して、0.1%の水溶液を作った。
(2) 5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤5mlを水95mlで希釈して005%の水溶液100mlを作った
(3) 5%次亜塩素酸ナトリウム液を100倍に希釈して,100ppm の水溶液を作った。
(4) 5%次亜塩素酸ナトリウム液2mlを水998mlで希釈して0.01%の水溶液1Lを作った
正解(4)
(1) 15(%)/100(倍) = 0.15(%)
(2) (95+5)(ml)/5(ml) = 希釈倍率20倍、5(%)/20(倍) = 0.25(%)
(3) 5(%)/100(倍) = 0.05(%)= 500(ppm)
(4)(998+2)(ml)/2(ml) = 希釈倍率500倍、5(%)/500(倍) = 0.01(%)
消毒薬使用液(希釈液の調整法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか
(1) 5%次亜塩素酸ナトリウム製剤を50倍に希釈した液は0.1%次亜塩素酸ナトリウム水溶液である
(2) 0.1%逆性石けん水溶液は,10%逆性石けん製剤を50 倍に希釈したものです。
(3)5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤を50倍に希釈した液は0.05%グルコン酸クロルヘキシジン水溶液です。
(4) 0.1%両性界面活性剤水溶液は,15%両性界面活性剤製剤を50倍に希釈したものです。
正解(1)
(1) 5(%)/50(倍) = 0.1(%)
(2) 10(%)/50(倍) = 0.2(%)
(3) 5(%)/50(倍) = 0.1(%)
(4)15(%)/50(倍) = 0.3(%)
次の計算式は,消毒業の使用液(希釈液)を調製するのに必要とする消毒薬(原液)製剤量を求めるものです。次の( )内に入る語句の組合せのうち,正しいものはどれか
消毒薬(原液)製剤量(ml) = 消毒薬使用液(希釈液)調製量(ml)× { ( B ) / ( A ) }
(1)A:使用液(希釈液)濃度 B:使用液(希釈液)濃度
(2)A:使用液(希釈液)濃度 B:製剤(原液)濃度
(3)A:製剤(原液)濃度 B:使用液(希釈液)濃度
(4)A:製剤(原液)濃度 B:製剤(原液)濃度
正解(3)
理容師法施行規則美容師法施行規則に定められている消毒薬の使用液(希釈液)調整法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか
(1)グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は5%グルコン酸クロルヘキシジン製剤5ml を水995mlで希釈します。
(2)両性界面活性剤水溶液は、10%両性界面活性剤製剤 1mlを水 999mlで希釈します。
(3)エタノール水溶液は、化学薬品としてのエタノール(無水エタノール)400mlを水100mlで希釈します。
(4)逆性石ケン水溶液は、10%逆性石ケン製剤の1ml を水499mlで希釈する
正解(3)
(1)(995+5)(ml)/5(ml) = 希釈倍率200倍、5(%)/200(倍) = 0.025(%)・・・グルコン酸クロルヘキシジン水溶液は0.05%以上必要なので間違い
(2)(999+1)(ml)/1(ml) = 希釈倍率1000倍、10(%)/1000(倍) = 0.01(%)・・・両性界面活性剤水溶液は0.1%以上必要なので間違い
(3)無水エタノール濃度(99.5%) ×(4/5) = 79.6%・・・エタノール水溶液は、76.9~81.4%で使用するので正しい
(4)(499+1)(ml)/1(ml) = 希釈倍率500倍、10(%)/500(倍) = 0.02(%)・・・逆性石けん液は、0.1%以上必要なので間違い