頭皮・毛髪用香粧品とは?
頭皮・毛髪用香粧品は、頭皮や毛髪の健康を維持し、毛髪の癖をとり、健康な状態にしたうえで、思いどおりのヘアスタイルやウエーブ、カラーを得るために用いるものを言います。
(例)
- シャンプー剤
- ヘアリンス剤
- ヘアトリートメント剤
- 育毛剤
- スタイリング剤
- パーマ剤
- 染毛剤
シャンプー剤
シャンプー剤の目的
【目的】
頭部の垢あかや汚れを除去して清潔にし、生理機能を高めて頭皮や毛髪を美しく保つこと。
- 洗浄力はもちろん必要であるが、皮脂などの油分を除去しすぎて頭皮の生理機能に害が及んだり、毛髪の光沢や美しさが失われたりしてはならない。
シャンプー剤の進化
従来シャンプー剤は主に”洗浄”を、ヘアリンス剤は毛髪に残ったシャンプーを“すすぐ"という目的で使用されていました。
その後、シャンプー剤の開発が進み、本来ヘアリンス剤が受け持っていた、コンデイショニング作用がシャンプー剤にも賦与されました。
シャンプー剤とへアリンス剤の機能を一体化したものを、リンス一体型シャンプー(リンスインシャンプー)と言います
クレンジングとは
汚れを浮かして落とすこと。
コンディショニング作用とは
毛髪に、よりよい手ざわり・つや・はり・こしをあたえる作用。
シャンプー剤の成分
洗浄のための成分
洗浄のための主な成分は、陰イオン界面活性剤(例)高級アルコール系合成洗剤、石けんなどです。
弱酸性で低刺激のシャンプー剤の洗浄剤には、両性界面活性剤(ベタイン型、アミノ酸系)が用いられています。
コンディショニング成分
コンディショニング成分としては、第四級アンモニウム塩、タンパク質やその加水分解物、油性物質、保湿剤などが加えられます。
まとめ表
洗浄のための成分 | 主な成分 | 陰イオン界面活性剤例)高級アルコール系合成洗剤(アルキル硫酸ナトリウム)、石けんなど |
低刺激のシャンプー剤に使われる成分 | 両性界面活性剤(ベタイン型、アミノ酸系) | |
コンディショニング成分 | 第四級アンモニウム塩、タンパク質やその加水分解物、油性物質、保湿剤など |
- シャンプーの主成分は、陰イオン界面活性剤(高級アルコール系合成洗剤、石けんなど)
- 低刺激のシャンプー剤に使われる成分は、両性界面活性剤
- 第四級アンモニウム塩は、リンス剤(コンディショニング成分)である。
シャンプー剤の性質
シャンプー剤に必要な一般的性質には以下のようなものがあります。
- 豊富で持続性のあるきめの細かい泡が豊富生じること
- 頭皮、目の粘膜などを刺激せず、安全性が高いこと。
- 脱脂しすぎることなく、適度の洗浄力があること。
- すすぎが簡単
- 汚れを取り除くことによリ毛髪に光沢や柔軟性をあたえ、くしや、ブラシの通リをよくしてスタイリングしやすくすること。
シャンプー総まとめ問題
問.シャンプーに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 洗髪後の毛髪に自然の光沢や適度な柔軟性を与え、くしやブラシの通りをよくしてスタイリングしやすくする。
(2) 洗浄のための主成分は、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。
(3) 持続性のあるきめの細かい泡を生じ、適度の洗浄作用を有する。
(4) 陰イオン界面活性剤や両性界面活性剤は、洗浄剤として用いられる。
解答(2)
洗浄のための主成分は、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。 洗浄のための主要成分は一般に、陰イオン界面活性剤である。
問.シャンプー用剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) シャンプー剤の主要な原料は、陰イオン界面活性剤であり、高級アルコール系合成洗剤などはその代表的なものである。
(2) シャンプー剤には、フケを防止する目的でジンクピリチオンなどを配合したものがある。
(3)ヘアリンス剤には、毛髪に光沢を与えるだけでなく静電気の発生を防止する目的で非イオン界面活性剤が用いられる。
(4) ヘアトリートメント剤は、損傷した毛髪を健康な状態に近づけることを目的として用いられる。
解答(3)
ヘアリンス剤には、毛髪に光沢を与えるだけでなく静電気の発生を防止する目的で陽イオン界面活性剤が用いられる。
問.シャンプー剤に用いられる配合成分とその配合目的に関する次の記述のうち。 正しいものの組合せはどれか。
a.第四級アンモニウム塩や高級アルコールは、洗浄剤である。
b.ジンクピリチオンは、フケ防止剤である。
c.メントールやカンフルは、清涼感をあたえるトニック剤である。
d.エデト酸塩やクエン酸は、コンディショニング剤である。
(1) aとb
(2) bとc
(3) cとd
(4) aとd
解答(2)
a.第四級アンモニウム塩や高級アルコールは、洗浄剤である。 第四級アンモニウム塩はリンス剤である。
d.エデト酸塩やクエン酸は、コンディショニング剤である。 エチレンジアミン四酢酸(エデト酸/EDTA)やクエン酸は、金属イオン封鎖剤※。
※金属イオン封鎖剤(キレート剤)とは?
石けんは、水道水中のミネラルと結合すると石けんカスが発生し、余った石けんのみが洗浄成分として働く。金属イオン封鎖剤があらかじめミネラル分を捕捉することで石けんカスの発生が抑えられ、洗浄成分として働く石けんが増え、硬水でも洗浄力を確保することができる。
ヘアリンス剤
ヘアリンス剤の目的
【目的】
毛髪に自然な光沢と柔軟性をあたえて櫛やブラシの通りをよくし、毛髪の表面を保護すると共に、静電気を防止して毛髪をまとめやすくすること。
ヘアリンス剤の種類
ヘアリンス剤の種類には以下のようなものがあります。
- 酸性リンス
- 第四級アンモニウム塩を主成分とするヘアリンス剤
①【酸性リンス】
酸性リンスは、クエン酸などの弱酸性のヘアリンス剤です。
石けんを洗浄剤とするシャンプー剤、染毛剤などのアルカリ性の薬剤を使用したあとのヘアリンス剤として用いられています。
石けんを洗浄剤とするシャンプー剤が一般的だった時代では、毛髪などにアルカリ分や金属石けんなどの石けんかすが残るので、これを除去するために酸性リンスが用いられていました。
②【第四級アンモニウム塩を主成分とするヘアリンス剤】
主成分は陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩です。
陽イオン界面活性剤は、陰イオン界面活性剤とイオン結合してこれを取り除くとともに、キューティクルに吸着して毛髪の表面に皮膜を形成します。
↓つまり
- 陰イオン界面活性剤(シャンプー剤)はマイナス。陽イオン界面活性剤はプラスなので、くっついて除去できる
- 毛髪の表面は、マイナスの静電気を帯ているので、プラスの陽イオン界面活性剤(リンス剤)がくっつき皮膜を形成する。
↓
この皮膜は、毛髪を保護して柔軟にし、自然な光沢をあたえるとともに、帯電防止効果(静電気を防止する効果)があり、櫛やブラシの通りをよくし、スタイリングを容易にします。
- 第四級アンモニウム塩は、陽イオン界面活性剤。
- 第四級アンモニウム塩は、帯電防止効果がある。
ヘアリンス剤の成分
ヘアリンス剤には、上記のほかに以下のようなものが配合されています。
- 油性物質
- 保湿剤
- 増粘剤
- 香料
- 着色料
- 防腐・殺菌剤
- 紫外線吸収剤
- ジンクピリチオン(ふけやかゆみを防止するため)
- メントール(清涼感をもたせるため)
- ビタミンやホルモン、植物からの抽出成分など(脱毛防止や育毛などの効果を期待)
ヘアトリートメント剤
ヘアトリートメント剤とは
ヘアリンス剤のコンディショニング効果をより強めたもの。
ヘアトリートメント剤の目的
【目的】
損傷した毛髪の内部まで浸透させて健康な状態に近づけること。
ヘアトリートメント剤の分類
シャンプーと併用するタイプ
シャンプー後に使用し、放置後洗い流すタイプのヘアトリートメント剤のことです。
ほとんどのヘアトリートメント剤がこれにあてはまります。
【成分】
ヘアリンス剤の油性物質、保湿剤を強化し、そこに加水分解プロテイン※を配合しているものが多い。
皮膜形成剤としてカチオン化セルロースや重合度の高いシリコーン油が用いられているものもある。
※加水分解プロテイン・・・動植物のタンパク質を加水分解して分子量を調整したポリペプチド(損傷した毛髪は補修する働きを持つもの)
ポリペプチド・・・多数のアミノ酸が結合によって連なった化合物(アミノ酸の数が50までをポリペプチド、50以上をタンパク質と呼ぶ)
シャンプーと併用しないタイプ
シャンプーと関係なく使用するタイプのヘアトリートメント剤のことです。
洗い流さないトリートメントなどがこれに該当します。
【成分】
- セット時に用いるヘアトリートメント剤には、皮膜形成剤が配合されず、シリコーン油※などのコンディショニング剤が配合されることがある(プラッシングの際に用いてブラシの滑りをよくし、枝毛などを防止したり、毛髪に光沢をあたえたりする効果がある。)
- シャンプーと関係なく使用するタイプのヘアトリートメント剤におけるエアゾール製品※はブラッシングスプレーともよばれている。
※シリコーン油とは?
珪石を原料にした合成樹脂で、低粘度の液状のものをシリコーン油という。シリコーンは、ケイ素と酸素からできている高分子化合物。シリコーン油は、シリコーンのうちで分子量が比較的小さく、常温で油状のものをいう。
※エアゾール製品とは?
スプレータイプのことで、 缶などの容器の中に液化ガスあるいは圧縮ガスなどの噴射剤と、原液を入れて、吹き出しボタンを押すとガスの圧力によって原液がスプレー状やムース状になって出てくる製品。
総まとめ
目的まとめ
シャンプー剤 | 頭部の垢あかや汚れを除去して清潔にし、生理機能を高めて頭皮や毛髪を美しく保つこと |
ヘアリンス剤 | 毛髪に自然な光沢と柔軟性をあたえて櫛やブラシの通りをよくし、毛髪の表面を保護すると共に、静電気を防止して毛髪をまとめやすくすること |
ヘアトリートメント剤 | ヘアリンス剤が毛髪の表面に吸着するのに対して、ヘアトリートメント剤は、損傷した毛髪の内部まで浸透させて健康な状態に近づけること |
問.ヘアリンス剤に関する次の文章の )内に入る語句の組合せのうち, 正しいものはどれか。
「ヘアリンス剤は,毛髪に自然な光沢と( A )を与えて、くしやブラシのとおりをよくし、毛髪の表面を( B )するとともに、( C )を防止して毛髪をまとめやすくすることを目的として、シャンプー後のすすぎの段階で用いられる。」
(1)A:柔軟性 B:保護 C:静電気
(2)A:水分 B:脱色 C:静電気
(3)A:柔軟性 B:脱色 C:抜け毛
(4)A:粘性 B:加湿 C:枝毛
解答(1)
問.シャンプー用剤・リンス用剤に用いられる配合成分とその配合目的に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ジンクピリチオンや硫黄は、金属イオン封鎖剤である。
(2) 高級アルコール系合成洗剤は、洗浄剤である。
(3) 第四級アンモニウム塩は、静電気の発生を防止する帯電防止効果がある。
(4) メントールやカンフルは、トニック剤である。
解答(1)
ジンクピリチオンや硫黄は、フケ防止剤である。
問.ヘアリンス剤に関する次の文章の( )内に入る語句の組合せのうち、正しいものはどれか。
「ヘアリンス剤に用いられる第四級アンモニウム塩は( A )界面活性剤であり、( B )に吸着して毛髪を保護して柔軟にし、( C )の発生を防止する効果がある。」
(1) A:陰イオン B:毛皮質 C:静電気
(2) A:陽イオン B:コルテックス C:かゆみ
(3) A:陰イオン B:コルテックス C:フケ
(4) A:陽イオン B:毛皮質 C:静電気
解答(4)
問.毛髪に使用する香粧品に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) シャンプー剤の主成分は、 陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。
(2) シャンプー剤に用いられるフケ防止剤には、ベンゾフェノン誘導体が用いられる。
(3) ヘアリンス剤の主成分は、陰イオン界面活性剤である。
(4) ヘアトニックには、フケやかゆみを抑制する目的でエタノール水溶液に育毛・養毛成分を配合したものもある。
解答(4)
(1) ヘアリンス剤の主成分は、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。
(2) シャンプー剤に用いられるフケ防止剤には、ジンクピリチオンなどが用いられる。
(3) シャンプー剤の主成分は、陰イオン界面活性剤である。
問.頭皮毛髪に使用する香粧品に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1) エアゾールタイプヘアトリートメント剤は、ブラッシングスプレーとよばれ、噴射剤として主に液化石油ガスやジメチルエーテルが用いられている。
(2) シャンプー剤に用いられるフケ防止剤には、パラアミノ安息香酸エステル類が使われる。
(3) ヘアリンス剤の主成分は、陰イオン界面活性剤である。
(4) シャンプー剤で洗浄機能を果たす成分は、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。
解答(1)
(2) シャンプー剤に用いられるフケ防止剤には、ジンクピリチオンなどが使われる。
(3) シャンプー剤の主成分は、陰イオン界面活性剤である。
(4) ヘアリンス剤で洗浄機能を果たす成分は、陽イオン界面活性剤の第四級アンモニウム塩である。
問.香粧品に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) シャンプー剤の主要な洗浄成分は、脱イオン界面活性剤であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどはその代表的なものである。
(2) ヘアトリートメント剤は、損傷した毛髪の内部まで浸透させて健康な状態に近づけることを目的として用いられる。
(3) シャンプー前には、フケを防止する目的でジンクピリチオンなどが配合されているものもある。
(4) ヘアリンス剤には、毛髪に光沢を与えるだけでなく、静電気の発生を防止する目的で非イオン界面活性剤が用いられる。
解答(1)
ヘアリンス剤には、毛髪に光沢を与えるだけでなく、静電気の発生を防止する目的で陽イオン界面活性剤が用いられる。
問.ヘアトリートメント剤に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ヘアリンスのコンディショニング効果を強めたものである。
(2) 損傷した毛髪の表面部分だけに作用し、毛髪を健康な状態に近づける。
(3) シャンプーと併用しないタイプには、セット時に使用するものや就寝前に使用するものなどがある。
(4) シャンプーと併用するタイプには、加水分解プロテインが配合されたものもある。
解答(2)
損傷した毛髪の内部まで浸透し、毛髪を健康な状態に近づける。