ヘアカラー製品
ヘアカラー製品の種類
種類
ヘアカラー製品は、染毛のメカニズムの違いにより染毛料と染毛剤に大別され、さらに持続期間や効能・効果の違いなどから、一時染毛料、半永久染毛料、永久染毛剤、脱色剤・脱染剤に分類されます。
また、永久染毛剤・脱色剤・脱染剤は、医薬部外品。半永久染毛料・一時染毛料は、化粧品に分類されます。
簡易まとめ表↓
ヘアカラー製品 | 染毛剤
(医薬部外品) |
永久染毛料 | 酸化染毛料 | 白髪染め、おしゃれ染め |
非酸化染毛料 | オハグロ式白髪染め | |||
脱色剤・脱染剤 | 脱色剤 | ヘアブリーチ、ヘアライトナー | ||
脱染剤 | ヘアブリーチ、パウダーブリーチ | |||
染毛料
(化粧品) |
半永久染毛料 | ヘアマニキュア、酸性カラー、カラーリンス | ||
一時染毛料 | ヘアマスカラ、カラースプレー、カラージェル |
【医薬部外品に分類されるもの】
化学反応を利用して染毛又は脱色をするものが医薬部外品に該当します。
①永久染毛剤
染料を毛髪の内部まで浸透させ、酸化剤による化学反応を利用して染毛するもの。
②脱色剤
毛髪に酸化剤を作用させてメラニン色素を酸化して分解し、脱色するもの。
③脱染剤
毛髪内の染料を酸化して分解し、脱色するもの。
【化粧品に分類されるもの】
物理的に染毛するものが化粧品に該当します。
①一時染毛料
着色成分を毛髪の表面に付着させて染毛するもの。
②半永久染毛料
着色成分を毛髪に吸着又は浸透させて染毛する。
化粧品の染毛料
化粧品の染毛料には、以下のようなものがあります。
- 一時染毛料
- 半永久染毛料
それぞれについて詳しく追っていきましょう!↓
①一時染毛料
一時染毛料とは?
水に溶けないタール色素や無機顔料、カーボンブラックなどの着色成分をアルコールなどの溶媒やロウ類、樹脂などと混ぜて毛髪に付着しやすいようにした染毛剤です。
【特徴】
- 着色成分が毛髪の表面に付着するだけなので1回のシャンプーで洗い落ちる
- 物理的な付着による染毛のため安全性も高く、手軽に用いられる。
一時染毛料の例
- カラースティック
- カラークレヨン
- カラージェル
- ヘアマスカラ
- カラースプレー
- カラーフォーム
- カラーパウダー など
②半永久染毛料
半永久染毛料とは?
染毛料が毛小皮(キューティクル)の隙間から物理的に毛皮質中に浸透し、染毛する染毛剤です。
水に溶ける着色成分が用いられ、①HC染料やタール色素の②酸性染料などが用いられます。
①HC染料
【染毛原理】
- 染料の分子が小さいため、毛小皮(キューティクル)の隙間から物理的に毛皮質中に浸透し、染毛する。
【特徴】
- シャンプーのたびに染料が流出しやすい。
- 酸性染料よりも染毛の持続期間は短い。
- 陽イオン界面活性剤と共存できるためトリートメント効果にすぐれている。
- 頭皮や手指に着色しない。
- 染毛効果がpHの影響を受けない。
②酸性染料
酸性染料は、酸性染毛料ともよばれ、酸性染毛料には、ヘアマニキュアや酸性カラー、カラーリンスなどがあります。
【染毛原理】
- 毛小皮の隙間から毛小皮や毛皮質の一部(HC染料ほど毛皮質の深部までは浸透しない)まで染料の浸透を促する。
- 酸性染毛料は水に溶かすとマイナスの電気を帯び、毛髪内のケラチンタンパク質は酸性の状態ではプラスの電気を帯びる。これらのプラスとマイナスがくっつき毛髪内に染料をとどまらせることで染毛する。
【特徴】
- 永久染毛剤の酸化染毛剤よりも毛髪を損傷しにくい。
- かぶれなどのアレルギー反応を起こすこともほとんどない。
- 手指や頭皮にも染着しやすい。
- 脱色作用がないので、主に白髪染めとして用いられる。
- 白髪を淡い色に染めたり毛髪に光沢をあたえたりすることを目的としたものもある。
- 1回のシャンプーで染料が除去されることはなく、シャンプーのたびに少しずつ色落ちし、2週間から1カ月くらいの間、染毛効果が期待できる。
- HC染料よりも分子がやや大きい。
- 酸性染毛料のpHは酸性に調整されている
酸性染料は水に溶かすとマイナスの電気を帯び、毛髪内のケラチンタンパク質は酸性の状態ではプラスの電気を帯びます。これらが電気的に引き合わせることで毛髪内に酸性染料をとどまらせ、染毛するためです。
まとめ問題
ヘアマニキュアに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ヘアマニキュアは、酸性染毛料とも呼ばれる。
(2)酸性染料は、水に溶かすとプラスの電気を帯びる。
(3)毛髪内では、酸性染料とケラチンタンパク質とが電気的に引き合っている。
(4)ヘアマニキュアには、脱色作用がない。
正解(2)…酸性染料は水に溶かすとマイナスの電気を帯び、毛髪内のケラチンタンパク質は酸性の状態ではプラスの電気を帯びるため、これらを電気的に引き合わせ、毛髪内に酸性染料をとどまらせる。
医薬部外品の染毛料
医薬部外品の染毛料には、以下のようなものがあります。
- 脱色剤
- 脱染剤
- 永久染毛剤
それぞれについて詳しく追っていきましょう!↓
①脱色剤
脱色剤とは?
毛髪を脱色してより明るい色調にするための染毛剤のことを脱色剤と言います。
【目的】
毛髪を脱色してより明るい色調にすること。
・・・脱染剤のように染まっている染料を分解するほどの作用はもちません。
【脱色剤の基本的な構成】
アンモニア水などのアルカリ剤を用いた第1剤と、酸化剤として過酸化水素水を用いた第2剤からなる。
脱色剤 = ①アルカリ剤(アンモニア水など) + ②過酸化水素水(酸化剤)
【脱色原理】
- 第1剤と第2剤を混ぜると、1剤のアルカリ剤の影響で2剤の過酸化水素が分解され、酸素を放出する。
- この酸素によって毛髪のメラニン色がを酸化・分解され毛髪を脱色する。
①アルカリ剤(アンモニア水など) + 過酸化水素水(酸化剤)
↓
酸素が発生!
↓
②酸素が、メラニン色素を酸化・分解して毛髪を脱色
↓
毛髪が明るい色になる
【特徴】
- 黒色~褐色の毛髪を褐色~明褐色にまで脱色することができる。
- 脱色の程度は、アルカリ剤や過酸化水素水の濃度・作用時間・毛髪の損傷の程度・室温などによって変わる。
- 第1剤と第2剤を混合してから時間が経過すると効果が減退する
②脱染剤(過去出題)
脱染剤とは?
・・・染毛した毛髪をより明るい色や別の色に染め直すために、既に毛髪内部にある染まっている染料を分解(脱染)する染毛料です。
【目的】
染毛した毛髪をより明るい色や別の色に染め直すために、既に毛髪内部にある染まっている染料を分解(脱染)する
【脱染剤の基本的な構成】
- 1剤には、アルカリ剤と、強い酸化剤である過硫酸塩が配合される
- 2剤の酸化剤には過酸化水素水が配合される
脱染剤 = ①アルカリ剤&過硫酸塩(酸化剤) + ②過酸化水素水(酸化剤)
【脱染原理】
脱色剤と同様に発生した酸素によって毛髪内のメラニン色素と染料を酸化・分解して脱染する。
【特徴】
- 脱染剤は脱色剤としての効能も持つものが多い
- 毛髪の色調は黒色を明るい黄色にまで脱色することができる。
- 濃度・作用時間・毛髪の損傷の程度・室温などによって脱色の程度が変わる
- 第1剤と第2剤を混合してから時間が経過すると効果が減退する
医薬部外品の染毛料は、化学反応を利用するので、容器や添付文書などに記載されている使用上の注意事項をよく読み、それに従って使用することが大切です。
③永久染毛剤(過去出題)
永久染毛剤とは?
永久染毛剤には、酸化染料を用いた①酸化染毛剤と②非酸化染毛剤(オハグロ式白髪染め)がありますが、現在使用されるほとんどのものは、①酸化染毛剤です。
酸化染毛剤とは?
酸化染料が、毛皮質の奥深くまで浸透し、酸化・重合し、無色のの染料が有色となって発色する染毛剤のことを言います。
重合・・・分子が、二つ以上化学的に結合して、もとのものより分子量の大きい化合物をつくること
【酸化染料の種類】
酸化染毛剤に使用される染料は、以下のものを組み合わせて使用します。
- 染料中間体…本来無色のもので、酸化剤で酸化されることで発色する染料(パラフェニレンジアミンなど)
- 調色剤(カップラー)…単独では酸化されてもほとんど発色しないが、染料中間体と共に酸化されると、異なった色調に発色する染料(レゾルシン、メタフェニレンジアミンなど)
- 直接染料…もともと、色を有する染料(ニトロパラフェニレンジアミン等)
・・・酸化染毛剤では、異なる色調ののものを同量で混合しても、その中間の色調が得られるとは限らないので注意が必要です
【酸化染毛剤の基本的な構成】
アンモニア水などのアルカリ剤に酸化染料を加えた第1剤と、酸化剤として過酸化水素水を用いた第2剤で構成されます。
酸化染毛剤 = ①アルカリ剤(アンモニア水など)&酸化染料 + ②過酸化水素水(酸化剤)
【特徴】
- 染料はシャンプーなどによって除去されることはなく、染毛効果は長期間持続する。
- 白髪染めや、おしゃれ染めに使用される。
酸性酸化染毛剤とは?
酸化染毛剤のなかでも、アルカリ剤が配合されていない酸化染毛剤のこと
酸性酸化染毛剤 = ①酸化染料 + ②過酸化水素水(酸化剤)
【特徴】
- 脱色作用が弱く、毛髪色を明るい色調にすることはできない
- 主に白髪染めとして用いられる
- 染毛効果は通常の酸化染毛剤とほぼ同程度。
まとめ問題
酸化染毛剤に含まれる成分と、そのはたらきに関する次の組合せのうち、正しいものはどれか。
(1)過酸化水素 ──────── アルカリ剤
(2)レゾルシン ──────── 調色剤(カップラー)
(3)アンモニア水 ─────── 酸化剤
(4)メタフェニレンジアミン ── 直接染料
正解(2)
(1)過酸化水素 ──────── 酸化剤
(2)レゾルシン ──────── 調色剤(カップラー)
(3)アンモニア水 ─────── アルカリ剤
(4)メタフェニレンジアミン ── 調色剤(カップラー)
酸化染毛剤と皮膚アレルギー試験(パッチテスト)
酸化染毛剤(×酸性染毛料)を用いるときは、使用する前に48時間の皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を行うことが義務付けられています。
酸化染毛剤に含まれる酸化染料には、痒みや、かぶれなどのアレルギー反応を起こすものがあるからです。
そして、そのアレルギー反応を起こす可能性のある代表的な酸化染料が、パラフェ二レンジアミンです。
アレルギー反応を起こす可能性のある代表的な酸化染料→パラフェ二レンジアミン
ヘアカラー製品の使用上の注意(パッチテスト)(過去出題)
ヘアカラー製品の使用上の注意(パッチテスト)は以下の通りです。
- 染毛の2日前(48時間前)に、毎回必ず皮膚アレルギー試験(パッチテスト)を行う。
- 使用する薬液を、使用法に定められた割合で混合したテスト液を用いる。
- テスト液を腕の内側に10円硬貨大に薄く塗り、自然に乾燥させる。
- テスト開始後30分経過したら、異常がないか一度確認する。
- 異常がなければ、そのまま触れず48時間放置した後、再確認する。テスト液を塗ったところは絆創膏等で覆わないで、テストの途中で異常を感じたら、すぐに洗い流し、染毛をやめる。
- 48時間経過後、異常がないことを確認し、染毛する。
かぶれが生じた場合、すぐに試験を止める。
酸化染毛剤ならびに非酸化染毛剤の使用上の注意事項(日本ヘアカラー工業会による)
使用上の注意
1.次の方は使用しないでください。
① 今までに本品に限らずヘアカラーでかぶれたことのある方
② 染毛中または直後に、じんま疹(かゆみ、発疹、発赤)あるいは気分の悪さ(息苦しさ、 めまい等)を経験したことのある方
③ 皮膚アレルギー試験(パッチテスト)の結果、皮膚に異常を感じた方
④ 頭皮あるいは皮膚が過敏な状態になっている方(病中、病後の回復期、生理時、妊娠中等)
⑤ 頭、顔、首筋に、はれもの、傷、皮膚病がある方
⑥ 腎臓病、血液疾患等の既往症がある方
⑦ 体調不良の症状が持続する方(微熱、倦怠感、動悸、息切れ、紫斑、出血しやすい、月経 等の出血が止まりにくい等)
2.使用前のご注意
① 染毛の2日前(48時間前)には次の手順に従って毎回必ず皮膚アレルギー試験(パッチ テスト)を行ってください。パッチテストは、染毛剤にかぶれる体質であるかどうかを調 べるテストです。テスト部位の観察はテスト液塗布後30分位および48時間後の2回行 います。過去に何回も異常なく染毛していた方でも、体質の変化によりかぶれるようにな る場合もありますので、毎回必ず行ってください。
(a) 使用する薬液を使用法に定められた割合で混合し、テスト液を数滴つくります。
(b) テスト液ができましたら、腕の内側に10円硬貨大にうすく塗り、自然に乾燥させて ください(塗った部分が30分位しても乾かない場合は、ティッシュペーパー等で軽 く拭き取ってください)。
(c) そのまま触れずに48時間放置します(時間を必ず守ってください)。 テスト液を塗ったところは絆創膏等で覆わないでください。
(d) 塗布部に発疹、発赤、かゆみ、水疱、刺激等の皮膚の異常があった場合には、手等で こすらないで直ちに洗い落とし、染毛しないでください。途中、48時間以前であっても、同様の皮膚の異常を感じた場合には、直ちにテストを中止し、テスト液を洗い 落として染毛しないでください。
(e) 48時間経過後、異常がなければ染毛してください。
② 頭髪以外には使用しないでください。本品は頭髪用の製品です。
③ 眉毛、まつ毛に使用しないでください。薬液が目に入るおそれがあります。
④ 顔そり直後は染毛しないでください。皮膚が細かく傷ついているおそれがあり、刺激等を 受けやすくなります。
⑤ 染毛の前後1週間はパーマネントウェーブをかけないでください。髪を傷めたり、色落ち したりすることがあります。
3.使用時のご注意
① 薬液は使用直前に混合し、直ちに使用してください。
② 換気のよいところで使用してください。
③ 必ず添付の手袋を着用してください。
④ 染毛中に入浴したり、染める前に髪をぬらしたりしないでください。汗やしずく等で薬液 が目に入るおそれがあります。
⑤ 薬液が顔、首筋等につかないようにしてください。薬液がついたときは、直ちに水で洗い 落としてください。
⑥ 薬液や洗髪時の洗い液が目に入らないようにしてください。目に入ると激しい痛みを生じ たり、場合によっては目が損傷(角膜の炎症等)を受けたりすることがあります。万一、目 に入ったときは絶対にこすらないで、直ちに水またはぬるま湯で15分以上よく洗い流し、 すぐに眼科医の診療を受けてください。
⑦ 染毛中に発疹、発赤、はれ、かゆみ、強い刺激等の皮膚の異常やじんま疹、息苦しさ、め まい等の症状が現れた場合には、直ちに薬液をよく洗い流し、すぐに医師の診療を受けて ください。
⑧ 染毛後に何らかの異常を感じた場合には、必ず医師の診療を受けてください。
4.取り扱い上のご注意
① 混合した薬液の残りは効果がなくなります。必ず洗い流して捨ててください。(注4) ② 混合した薬液は保存しないでください。ガスが発生して容器が破裂するおそれがあり危険 です。
5.保管上のご注意
① 幼小児の手の届かない所に保管してください。誤って飲んだり食べたりすると危険です。
② 高温や直射日光をさけて保管してください。
(出典:日本ヘアカラー工業会)
その他のヘアカラー製品
ヘナ(ヘンナ)
ヘナは、ミソハギ科の双子葉植物を粉末化したヘアカラー剤のことを指します。
【特徴】
- 色は淡赤~淡褐色で、白髪染めには適さない
- 使用前の皮膚アレルギー試験(パッチテスト)が義務付けられている(ヘナを含む頭髪用及び洗髪用の化粧品)
銀塩
硫酸銀等の銀塩が配合されたもので、光による還元反応を利用した染毛料(化粧品)です。
【特徴】
- 使用し続けることで白髪が徐々に染まり、色は黒色系になる
- 髪色を明るくすることはできない。
- 銀塩で染めた毛髪に酸化染毛剤や脱色剤を使うと、髪色が緑色に変色する場合がある
まとめ問題
ヘアマニキュアに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ヘアマニキュアは、酸性染毛料とも呼ばれる。
(2) 酸性染料は、水に溶かすとマイナスの電気を帯びる。
(3) 毛髪内では、酸性料とケラチンタンパク質とが電気的に引き合っている。
(4) ヘアマニキュアには、脱色作用がない。
正解(2)・・・ 酸性染料は、水に溶かすとプラスの電気を帯びる。