パーマネントウェーブの歴史の流れ
19世紀中頃、フランスのパリでマーセルグラトーがマーセルアイロンを発明。(機械)
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1905年、ドイツ人チャールズネッスラーが熱を利用したマシンウエーブを発明。(機械)
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加水分解を利用したマシンレスウエーブ(ケミカルヒーティング方式)が現れる。(化学)
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現在一般的である、チオグリコール酸を主剤とした常温で処理できるコールドパーマネントウエーブが定着。(化学)
パーマネントウエーブの歴史はヒート→ウォーム→コールドの順で変化してきました。
パーマネントウェーブの理論
パーマネントウェーブは髪に可塑性をもたせることができます。
この可塑性は、アイロンやカールウエーブなどでは出せません!
可塑性
可塑性・・・加わっていた力が除かれても変形が残る性質のこと
毛髪の構造について
構成
毛髪は毛小皮・毛皮質・毛髄質の3層から構成されており、その大部分はケラチンとよばれるタンパク質からできています。
また、ケラチンはアミノ酸が結合してできたポリペプチドからできています。
ポリペプチド・・・多数のアミノ酸が結合によって連なった化合物(アミノ酸の数が50までをポリペプチド、50以上をタンパク質と呼ぶ)
ポリペプチド鎖(主鎖)・・・ポリペプチドが直線の鎖状につながったもの
毛髪の組織結合
ポリペプチド鎖(主鎖という)は、毛髪の縦の方向に多数並んでいます。
隣り合ったポリペプチド鎖(主鎖)は、シスチン結合、 イオン結合、水素結合などによって横のも繋がっていて(側鎖という)、網目構造をつくっています。
側鎖の中でもシスチン結合は強固な結合で、水、アルコール、弱酸や塩類に対して強い抵抗力をもち、還元剤でのみ切断されます。
ウェーブが形成される仕組み
毛髪のウエーブが形成される仕組みは2段階あります。
- 還元・・・ロッドに毛髪を巻き付け、還元剤(1剤)を塗布し、 アルカリの作用で毛髪内部に薬剤を浸透させ、シスチン結合を切断し、ロッドの形状に毛髪が変化する。
- 酸化・・・中間水洗で1剤を完全に洗い流した後、酸化剤(2剤)を塗布し、切断されたシスチン結合が再結合し、ウエーブとして固定する。
最も多く使用されているパーマ剤
現在最も多く使用されているパーマネントウエーブ用剤(パーマ剤)は、還元剤(1剤)と酸化剤(2剤)を用いたコールド二浴式パーマネントウエーブです。
還元剤と酸化剤の働き
有効成分 | はたらき | |
1剤 | 【主剤】還元剤(チオグリコール酸 システイン) | シスチン結合を切断し、毛髪に可塑性を与える |
アルカリ剤(アンモニア·アミン類中性塩) |
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2剤 | 酸化剤(臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、 過ホウ酸ナトリウム、 または過酸化水素水など) | 酸素を与えること(酸化)により、シスチンの再結合を促す |
パーマ剤の分類
パーマ剤は、医薬部外品です。(医薬品医療機器等法より)
有効成分や添加物(配合成分)の種類や分量、規格、製品の試験方法などが細かく規定されています。
パーマ剤の分類
パーマ剤には、
- 二浴式・コールドタイプ
- 一浴式・コールドタイプ
- システインタイプ
- 加温式タイプ
- 第1剤用時調製発熱二浴式パーマネントウエーブ
- 縮毛矯正剤
などの種類があります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう!
①二浴式・コールドタイプ
二浴式・コールドタイプとは?
A.還元剤(1剤)と酸化剤(2剤)を用いたパーマ剤のことです
パーマネントウエーブといえば、 大体この二浴式・コールドタイプです。
【特徴】
- 1剤は、チオグリコール酸などの主剤に、アルカリ剤を加えたアルカリ性の溶剤を使う
- 2剤の酸化剤には、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、 過ホウ酸ナトリウムまたは過酸化水素水を使う
- pHを毛髪や皮膚に近い弱酸性に調整し、毛髪に損傷を与えないようにした薬剤もある
②一浴式・コールドタイプ
一浴式・コールドタイプとは?
A.パーマネントウェーブを1種類のパーマ剤だけで行う方法です
【特徴】
- チオグリコール酸の濃度やアルカリ剤の量を低レベルに設定してある
- 酸化剤(2剤)の代わりに、空気中やプレーンリンスの水中の酸素による自然酸化を利用する。
③システインタイプ
システインタイプとは?
A.1剤の主剤であるチオグリコール酸の代わりに、還元剤としてステインを用いるパーマ剤のことです。
【特徴】
- チオグリコール酸に比べ還元力が弱く、ウエーブ効率も低く、安定性に劣る
- 毛髪の損傷修復のはたらきがある
- 毛髪に対しては作用が緩やか
- 原料が高価
④加温式タイプ
加温式タイプとは?
A.加温式は、60℃以下の熱によって還元作用を促進させることにより、パーマネントウエーブをかけるパーマ剤です。
【特徴】
- 60℃以下の熱を加える
- チオグリコール酸系とシステイン系の二浴式がある(1浴式はない)
- 1剤(チオグリコール酸、システイン、アルカリ剤)の配合量がコールド式より低く設定してある。
⑤第1剤用時調製発熱二浴式パーマネントウエーブ
第1剤用時調製発熱二浴式パーマネントウエーブとは?
A.1剤が2種類(チオグリコール酸と過酸化水素水)、2剤が1種類の合計3種類で構成され、使用直前に1剤の2種類を混合することによって発生する熱を利用してウエーブ効果を得るパーマ剤です。
【特徴】
- 1剤が2種類(チオグリコール酸と過酸化水素水)、2剤が1種類の合計3種類
- 使用直前に1剤を混合する
- 1剤のチオグリコール酸が高濃度
- 1剤は必ず使用直前に混合する!
- 1剤のチオグリコール酸が高濃度なため、単独で毛髪に塗布しない!
⑥縮毛矯正剤
縮毛矯正剤とは?
A.「ウエーブや、くせ毛、縮れ毛をのばし、保つ」ことを目的とするためクリーム状またはジェル状の溶剤
【特徴】
- 有効成分はコールド二浴式パーマ剤と同じ規格
- クリーム状や、ジェル状(粘度の規格あり)
パーマ剤の注意事項
パーマ剤には、使用前、操作中でそれぞれ注意しなければならない事項がたくさんあります。
使用前の注意事項には、
- 毛髪や健康状態などを事前に確認する。
- 使用量・使用方法を守り、 正しく使用する。
- 頭髪以外には使用しない。
- 金属性の物質は外しておく
などがあり、操作中の注意事項には、
- パーマ剤などが目や耳に入らないように十分注意する
- パーマ剤が皮膚に付かないように注意する
- メーカーの使用説明書をよく理解して施術する
- 1剤をよく洗い流す
- こまめに手を洗う
などがあります。
使用前に関する注意事項
❶毛髪や健康状態などを事前に確認する
パーマ剤を使用する際は、お客さまの健康状態、毛髪の経歴、毛髪の状態、頭皮の状態などを事前に確認します
下記に該当する場合は原則として施術を行ってはいけません。
パーマネントウエーブ施術を行ってはいけない状態
- 傷や皮膚病がある(頭皮・顔・首筋、手など)
- 生理時、産前、産後、病中、病後の回復期、体に異常がある、特異体質
- 過去にパーマ剤でアレルギー症状を起こしたことがある
- 毛髪が著しく損傷している
- ヘアカラー、パーマネントウエーブ施術から1週間以内
❷使用量・使用方法を守り、 正しく使用する
パーマ剤は、使用量が多くても少なくてもいけません。
使用量・使用方法を守り、 正しく使用することが大切です。
パーマを強くかけたいからといって、皮膚に多量に塗布したりすると、 皮膚障害を起こす原因になります。
使用方法間違いによる悪影響
- 毛髪を傷める
- 断毛・皮膚障害を起こす
- ウエーブ効果が得られない
- パーマのもちが悪くなる
❸頭髪以外には使用しない
頭髪用に作られているので頭髪以外に使用してはいけません。
まつ毛への使用は、目に入るかもしれないのでとても危険です。絶対にしてはいけません。
❹金属性の物質は外しておく
パーマ剤は金属性の物質と反応するおそれがあります。
使用前には、お客さまも、技術者も金属性の物質を全て外します。
操作中の注意事項
❶パーマ剤などが目や耳に入らないように十分注意する
パーマ剤が、目や耳に入らないように、注意が必要です。
パーマ剤が目に入ったときは、すぐに水またはぬるま湯でよく洗い流し、眼科専門医の診察を受けましょう。
自分の判断で目薬などを使用してはいけません。
❷パーマ剤が皮膚に付かないように注意する
パーマ剤が顔に流れたり、首筋に付いたりすることで皮膚障害など起こすことがあります。
皮膚が過敏な人には、保護用クリームや保護オイル、ターバンなどを使用して保護しましょう。
❸メーカーの使用説明書をよく理解して施術する
パーマ剤は、メーカーの使用説明書をよく理解して施術する必要があります。
特に注意する内容は以下のようなものがあります。
コールドニ浴式の製品 | 室温で作用するように作られているので、1剤塗布後に加熱して使用しない。 |
加温二浴式の製品 | 加温時間と作用時間、作用温度を指示書に従って正しい設定で施術しなくてはいけない |
縮毛矯正 |
|
❹他の化粧品やパーマ剤と混合しない
パーマ剤は、他のパーマ剤と組み合わせて使用してはいけません。
❺1剤をよく洗い流す
1剤は、よく洗い流さなくてはいけません。(中間水洗・中間リンス)
1剤(還元剤・アルカリ剤)が毛髪に残っていると、酸化が不十分になり、悪影響が生じます。
【悪影響の例】
- 求めるウエーブや縮毛矯正効果が得られない
- もちが悪くなる
- むらが出る
- 毛髪を傷める
- 脱色させる
など
❻こまめに手を洗う
技術者は、手を守るために、こまめに手を洗いパーマ剤を洗い落とす必要があります。
手荒れがある場合は、ゴム手袋を着用すると良いです。
保管・取り扱いの注意事項
幼小児の手の届かない所に保管する
幼小児の誤飲、こぼして液が目や皮膚にかかるなど事故を未然に防ぐために、幼小児の手の届かない所に保管する必要があります。
冷暗所に保管する
パーマ剤の成分が分解されないように、密閉して、高温や直射日光を避け冷暗所に保管する必要があります。
パーマ施術してもらう際の注意事項
ヘアカラー・パーマネントウエーブを同時期に行わない
毛髪を著しく傷めるおそれがあるので、パーマネントウエーブ施術の前後1週間は、パーマネントウエーブや、酸化染毛剤によるヘアカラー施術を行うべきではありません。