テェックポイント
労働基準法
・ 労働条件の原則
・ 労働時間、休憩、休日、年次有給休暇等
労働安全衛生法
・ 労働安全衛生法の目的
・ 健康管理の仕組み
・ 健康診断
雇用保険法
・ 雇用保険法の目的
・ 給付制度の概要
労働者災害補償保険法
・ 労働者災害補償保険法の目的
・ 給付制度の概要
が国家試験での【重点項目】とされています。要チェックです。
経営資源(人材)
経営資源のうち、機材や資金については量が問題になることが多いが、人材は質が重視されます。
- 理容業・美容業では、店の価値をつくり出していくために必要な接客や技術などを、人の力に大きく依存している。(重要)
- 労務管理(スタッフが頑張れる体制を整えていくこと)も、経営者の大きな責任のひとつになります。
労務管理
労務管理は、以下の2つからなります。
- 雇用や労働に関わる法令を遵守し、従業員が安全で健康に仕事ができるようにする取り組み
- 人材を効果的に活用し、より高い生産性を実現できるよう、人に関する調整、環境づくりを行う取り組み
理容業・美容業においては、人の能力や対応によってサービスの質が左右されるため、労務管理は経営的な成果にも直結します。
よって、労務管理=理容業・美容業の大きな課題に関わる重要なものと言える
なので、法律に従って就業規則の制定・届出・雇用契約の締結など、定められた手続きにしたがって作成しなくてはならないし、労働時間・休暇・保険・年金なども確実に管理していかなくてはなりません。
採用・トレーニング
採用
労務管理の出発点 → 人材採用
- 店にどのような人材が必要であるかを考え、採用計画をつくるところから始まります。
トレーニング(重要)
トレーニングには、OJTとOff-JTの2種類があります。
OJT
On the Job Trainingの略称。職場内訓練。
- 職場内の先輩が後輩に対し、仕事の場を通じて仕事に必要な技術などを指導・習得させるトレーニング
- (例)開店前や閉店後に後輩にカットを教えるなど
Off-JT
Off the Job Trainingの略称。職場外訓練。
- 職場外の研修による集合教育や講習会などのトレーニング
- (例)指定の会場で講師に接客の知識を学ぶなど
理容技術、美容技術や店に関わるものについては、OJTがとられ、専門的知識・制度などはOff-JTで行われることが多い。(重要)
労働者の権利(重要)
産業革命以降、日本は急速に発展した。
当時の労働者は、わずかな賃金で過酷な長時間労働を強いられたり、休日や災害時の保障などもなく、不安定な生活を送っていた。
この状況を改善すべく、労働者の権利を守るための法律、制度が整備された。
労働三法
日本では第2次世界大戦後、労働基準法・労働組合法・労働関係調整法の労働三法が制定され、労働者の権利が認められた。(重要)
労働三法→労働基準法・労働組合法・労働関係調整法(×労働安全衛生法)
語呂合わせ:労働三法!か(関係調整法)き(基準法)く(組合法)けこ!
労働時間
原則として、週40時間、1日8時間を超えて労働させることはできない。(重要)
- この時間を超えて労働させたときは、割増賃金(=残業代)を支払わなければなりません。
- [例外]従業員10人未満のお店→週44時間までの労働が認められています。
休憩
労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩を与えなければなりません。
- 休憩時間は、①労働時間の途中で、②一斉に与え、かつ③自由に利用させることが原則です。
- 理容葉・美容業などの場合は、交代で与えることができます。
休日
原則として、毎週少なくとも1日与えなければなりません。
- 例外として、4週間を通じて4日与えることも認められています。
有給
採用日から6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した者には10日間の年次有給休暇を与えなければなりません。
- その後も、1年経過ごとに所定の日数を与える必要があります。
- パート、アルバイトに対しても同様であるが、週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の者に与える休暇は、所定労働日数に比例した日数になります。
勤続年数 | 有給休暇付与日数 |
---|---|
6カ月間 | 10日 |
1.5年 | 11日 |
2.5年 | 12日 |
3.5年 | 14日 |
4.5年 | 16日 |
5.5年 | 18日 |
6.5年 | 20日 |
出産・育児休業(重要)
女性の社会進出に伴い、出産・育児休業は普通のものになりつつある。
- しかし制度を利用した者がどのような形で職場に復帰できるようにするのかは、まだ十分に検討されていない。(重要)
- また、育児休業・介護休業は、男性も取得できる。(重要)
解雇(重要)
使用者が従業員を解雇する場合は、納得できる合理的な理由が必要。
- 合理的な理由があったとしても30日前に予告するか、30日分の平均賃金を支払わなければならない。(重要)
新たな問題(重要)
- 今後、外国人労働者の問題、若年労働者の不足の問題、退職者の再雇用の問題などの大きな問題が生じてくることが予想される。(重要)
- そこで差別が生じたり過重な労働を強いることがないようにしていかなければならない。(重要)
- 仕事の種類も多様化し、仕事の仕方が異なってくると、全員が同じ勤務形態で働くことはむしろ特殊になり、職務によって異なる就労形態を適用することは増えてきている。(重要)
労働者は資本家に対して非力であり、弱い存在です。そのような労働者が保護されるよう、制度が整備されてきた。(重要)
労務管理は、認められた労働者の権利をしっかり守り、安全で健康な就労が実現されるよう努めていく仕事という側面をもっている。(重要)
フレックスタイム制度
一定期間(1日、1カ月間など)の総労働時間だけをあらかじめ決めておき、毎日の始業・終業時刻は従業員が自由に選択できる制度。
裁量労働制制度
実際の労働時間とは関係なく労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度。
- 裁量労働制は、業務の遂行の方法を大幅に従業員の裁量に委ねる必要があります。
- 業務の遂行の手段及び時間配分の決定に関して、使用者が具体的に指示することが困難な業務に適用できます。
【詳しく知りたい方へ:裁量労働制とフレックスタイム制の違い】
総まとめ問題
労働管理に関する次の記述のうち、正しいものの組み合わせはどれか。
a. 仕事の種類も多様化し、仕事の仕方も異なってきているが皆が一律の勤務形態で働くということが一般的で、職務よって異なる体系を適用することは少ない。
b. 労務管理は認められた労働者の権利をしっかり守り安全で健康な就労が実現されるよう努めていく仕事という側面をもっています。
c.今後外国人労働者の問題、若年労働者の不足の問題、退職者の再雇用の問題などの大きな問題が生じてくることが予想されるが、差別が生じたり、過重な労働を強いることがないようにしていかなければなりません。
d. 出産・育児休業の制度を利用した人がどのような形で職場復帰できるようにするのかは、すでに十分に検討されています。
(1) a と b (2) b と c (3) e と d (4) a と d
a・・・仕事の種類も多様化し、望ましい仕事の仕方も異なってくるようになると、皆が一律の勤務形態で働くということはむしろ特殊になり、職務によって異なる体系を適用することも増えてきている。
d・・・女性が社会進出するようになったことで、出産・育児休業が普通のものになりつつあります。しかしその制度を利用した人が、どのような形で職場復帰できるようにするのかは、まだ十分に検討されていない