その他

16.接客(トラブル対応) まとめ

接客におけるトラブルと対応

接客に関わるトラブル

大半のトラブルは、謝罪を適切に行うことで大きな問題に発展することはない。

しかし、それでも解決のために苦労する場合もあります。それには以下のような原因が考えられます。

(1)発生した事態の規模が大きい場合

小さなことであればセーフでも、大きなことであれば問題に発展します。

  • 水をこぼした程度ならふいて済むものでも、薬剤だったり、コーヒーだったりすればそうはいかなくなります。
  • 顧客がやけどやけがをする可能性があるし、衣類が使えなくなるおそれもあります。
  • 被害が拡大しないような対策や、弁償のための手続きを考えておかなければなりません。

(2)顧客に悪意がある場合

顧客の中には、「事態をおおごとにしてやろう」「賠償金をとってやろう」という明確な意図があり、難癖を付けてくるという場合も考えられます。

  • 悪意のある者、もしくはそれに近い人を顧客として迎える可能性もあるわけで、きちんとした対策がなければ店やスタッフがこうした悪意の犠牲者になることもあります。

問題を最小限に食い止めるために

問題を大きくしないためには、予測・準備・練習以外に方法はない。

  • 店内の配置や作業の仕組みなどを、事故が起こりにくいように設計することは当然重要です。
  • それに加え、もし顧客にけがをさせたらどうするのか、顧客の衣類を汚したらどうするのかなどをあらかじめ考え、対応を準備していく必要があります。

発生しうる事態を予見し、検討し、準備をしておくことを対策といい、トラブルに対してこれに勝る備えはない。

  • 対策は店として検討し、システム化しておくべきものです。

逆に発生した事態に対してその場で対応することを対処という。

  • 被害を拡大させないためにも対処は重要です。

ミスは必ず起こるものと考え、問題の拡大を防いだうえで、どうすれば誠意がある対応と受け止めてもらえるのかを考えておくことが大切です。

  • 理容業・美容業のみならず、接客業は、現場でのトラブル対応に力を注いでいます。

補償

補償(損害賠償)が必要になる場合があります。

  • 補償の目的→顧客の被害を弁済し、信頼を回復すること。
  • 補償が必要になるケースは少ないが、損害賠償額が大きくなる傾向があることからも、万一のことを考え、補償できる体制を整えておくことは重要です。

万が一のために、損害賠償保険に加入するのが一般的。

  • 大きな事故の場合、個人の資力では賠償ができなくなり、経営者や従業員も大きな損失を被る可能性があります。
  • そうしたことを避けるために保険に加入し、弁護士など専門家のアドバイスを受けながら対策を強化していくことが望ましい。

接客で予想される問題

クレーマー

施術の結果・手法について、顧客が不満を訴えることは、最も多いトラブル。

  • 顧客が多少の不満をもつことはやむを得ないことであり、通常はその内容をよく聞き、修正を加えていくと大きな問題には発展しない。

しかし中には大きなトラブルに発展してしまうものがあります。その原因として考えられるのが、一部のクレーマーなどとよばれる特殊な顧客です。

  • 顧客のすべてに問題があるわけではないが、どの顧客にもそうなる可能性があると考え、丁寧な接客を心がける必要があります。
  • 企業側も顧客の満足を重視して、顧客に対して丁寧な対応を行っているが、こうした状況を逆手にとり、度を超えた要求をしたり、社会通念上問題のある行動をする顧客が増えていることがその根底にあります。
  • さらに、難癖をつけて金品を得ようという悪意のある人も存在する

事故

接客における事故

顧客にけがをさせたり、衣類や持ち物を汚す、壊すなど

  • 事故で何が起こるか、起こった結果どうなるか、はある程度予測できるため、適切に機材を配置したり、応急処置の準備を行ったりしておくことで、事故の拡大を防ぐことができます。

予想される事故としては以下のようなものが考えられます。

けが

顧客が転ぶ、施術中に切るなど。

やけど、炎症

熱湯をかける、薬品が間違って付着するなど。

物の汚損

顧客の衣類・持ち物を汚す、又は壊すなど。

いずれについても、「応急処置」をきちんと行うことが重要です。

  • 理容、美容の技術に関連して起こること(刃物や薬品の取り扱いなど)については、応急処置の内容を熟知しておく。
  • 救急車をよばなければならなくなった場合、事情の説明(何をどう使ってこうなったのか)をきちんとできるようにしておく必要があります。
  • 物の汚損については、鍵付きのロッカーを用意して、そこに衣類や荷物をしまってもらうなどして、被害を未然に防ぐ措置を講じるべきです。

その他の予想される問題

地震、火災、暴風雨などの天災や犯罪に巻きこまれる、など

  • めったにないことではあるが、発生した場合、深刻な事態となり、顧客のみならず従業員や周辺市民の安全にも影響を及ぼす。
  • 具体的な対策をたて、安全に避難ができるように準備や訓練をしておくことが大切です。
  • 消防署や警察などと、連携をしておく必要もあります。
  • 建物の状態や立地などによって、天災の被害は大きく異なるため、自店に合った対策をとることが重要になります。

問題を深刻化させないための対策・対処

対策

問題をすべて防ぐことはできないが、対策を立てておくことでその深刻化を防ぐことはできます。

  • まず検討しなければならないのは、予想される問題の発生リスクをいかに低減させることができるかということです。

次に考えなければならないのは、起こった問題への対応方法です。

  • 動揺せず問題に対処できるようにする必要があります。
  • さまざまな準備を行うことで問題が深刻化することを防ぐ意味があります。

それは一般に次のような内容になります。

①被害が拡大しないよう行うべき内容を明らかにする

  • 事故であれば「応急処置」、天災などでは「初期対応」をきちんと決め、道具をそろえたり、手順を明確にして、だれでもそれができるようにしておくことです。

②トレーニングをしっかり行う

  • 繰り返し訓練することで、実際に問題が生じた場合でも安心して対処することができます。

③連絡・報告体制の確立

  • 警察や消防などへの連絡、店の責任者などへの報告をきちんと行うことも重要です。
  • きちんとした対策を立て、消防や警察などの機関、さらには弁護士などの専門家と連携しておくことで、トラブルが生じてもしっかりとした対応ができるようになります。

対処

問題が発生したときに大切なのは①被害をそれ以上拡大させないこと、②誠意をもって対応すること。

問題への対処は、通常以下のような段階を経ます。

事態の修復(被害の拡大の防止)

  • 顧客にけがをさせたなら応急処置
  • 何かを壊したなら片付ける
  • やけどなら冷やす

といったように、それ以上被害が拡大しないようにします。

  • この対処は迅速に行わなければならないため、トレーニングが必要になります。

確認

事態の確認をします。

  • なぜその事態が起こったのかを当事者立ち会いのもと確認します。
  • 確認は再発を防ぐ意味でも重要です。
  • 問題が重大になる場合、責任の所在を明らかにするうえでも必要になります。
  • その場では平静でも、退店してから蒸し返されるケースもあるため、確認は複数名で行うことが望ましく、記録を残すことも大切です。

謝罪

店側に責任があることが明らかになれば、その点についてきちんと謝罪をします。

  • 顧客の期待に答えられなかったのなら、プロとして謝罪すべきです。
  • 迅速な謝罪は、願客の怒りを静める効果があります。
  • 謝罪が問題解決を容易にすることもあるので、かたくなに謝罪を拒否することは極力避けるべきです。
  • しかし現実に訴訟になるケースも増えているため、何でも顧客の言うとおりではなく、謝罪で済むかどうかの見極めが重要になります。

総まとめ問題

接客に関する次の記述のうち、 誤っているものはどれか。

(1) 接客とは、顧客満足を実現するための顧客への対応をいう。

(2) 接客はその準備も含めて、 一連の活動のことをいう。

(3) 何がよい接客かというのは、「顧客にどのような価値を提供したいか」という店の経営方針に従って決まるものです。

(4) 接客は、一部の担当者だけが行う。

 

正解(4) ・・・接客は、全員の仕事です。直接顧客に対応する人とそうでない人がいるが、接客は顧客に経験を提供する仕事であり、顧客は自分がした経験すべてを総合してサービスを評価するので、全員が協力して顧客が満足してくれようにするのが接客という仕事であり、接客に関わらないという人はいない。

接客に関する次の記述のうち、 誤っているものはどれか。

(1) 受付という活動で重要なことは、顧客を迎えることと、顧客を店内の仕組みに合わせることです。

(2) 接客とは、サービスを提供する人が、顧客に対応するために行うすべてのことを指し、サービス提供活動そのもの指す。

(3) 要望を聞くうえで、聞いたこと、理解したことが正しいかどうか、顧客に確認する必要があります。

(4) 接客の前に要望を聞くのは、十分な準備をするためであるから、接客中に要望を聞く必要はない。

 

正解(4) ・・・接客前に要望を聞き、十分な準備をすることも、接客中に要望を聞き、顧客の経験をよりよくすることもどちらも重要です。

謝罪に関する次の記述のうち、間違っているものはどれか。

(1) 顧客に謝罪をすることはサービス提供者として当然であり、速やかに行う必要があります。

(2) 謝罪は悪い状況悪い感情から顧客をあるべき状況に引き戻すためのものです。

(3) クレームの場合は、本当に自分が悪いのか、顧客にも非があるのではないかということを、時間をかけて考えてから謝罪します。

(4) 実際には適切な謝罪が行われれば大きな問題にならないケースのほうがはるかに多い。

 

正解(3) ・・・クレームの場合は、「本当に自分が悪いのか」「顧客にも非があるのではないか」といったことを考えてしまいがちで、自己弁護を優先したり、言い訳を並べるような行動に出てしまうこともあるが、大切なことは、サービスを提供する者として期待にこたえられなかったという事実であって、そのことについて謝罪するということです。