その他

15.接客(実践) まとめ

接客の本質・店舗の清掃

接客の本質

理容業・美容業における接客は、実際に顧客と向かい合い、要望を聞いたり、会話をしたり、施術も行うなど、複雑なものになります。

  • 接客とは、顧客とサービス・システム、すなわち予定された価値のあり方との間を取りもち、店が想定したサービスを「その顧客のためのもの」にかえるための調整活動ということができます。
  • 常に顧客のことを考え、対応のための能力を高めておくこと、トレーニングを欠かさないことで、接客の力を高めていくことが大切。
  • サービスやシステムの良し悪しは、結局のところ顧客に接する理容師・美容師の総合力にかかっています。

清掃・点検・確認

店舗は、おもてなしの場であり、作業場でもあります。

  • 店舗は、日々使っていれば汚れたり、不具合が生じたりします。
  • これを正常な状態に戻すのが、清掃点検確認です。
  • ポイントは、顧客の視点で確認すること。
  • 清掃や点検・確認は、顧客の目線から確認すると意外な汚れに気付いたりするので、そのような視点をもつことも重要です。
  • ホームページや広告などを行っている場合は、その内容も定期的に確認します。
  • これらを常によい状態に整えていくことで、店は顧客によいメッセージをあたえ続けることができます。

受付の役割

受付の役割と意味

受付において重要なことは大きく2つ。

  1. 「顧客を迎える」ということ(重要)
  2. 「顧客を店内の仕組みに合わせる」ということ(重要)

①「顧客を迎える」

受付では、店に対する顧客の第一印象を形成します。

  • この時点でよい印象を与えることができれば、その後の接客はスムーズに進みやすい。
  • 逆に悪い印象を与えてしまうと、後からよいものに変えるのはなかなか容易ではない。
  • 顧客の立場になって、自分の店がどのような印象を与えているのか、きちんと振り返って改善していく必要があります。

②「顧客を店内の仕組みに合わせる」

顧客に店の考え方・やり方を理解してもらい、協力してもらえるようにします。

  • 混雑しているときに待ってもらったり、次の作業に移る際に自分で歩いて移動してもらったりすることも、こうした協力の一部です。
  • そのためには店の考え方・やり方をきちんと説明し、要望を聞いて作業がスムーズに進められるようにするといったことが必要になります。
  • 受付は店の業務に精通し、店内の状況を理解したうえで顧客に対応できる人でなければ努まらない。

顧客の要望を聞く

顧客の注文や要望を聞くということは、接客において重要な役割のひとつ(重要)

  • 要望を聞くときは、聞いたことに対する知識や理解が正しいかどうか、顧客に再確認する必要がある(重要)
  • 接客前に要望を聞くのは、十分な準備をするためであるが、接客中に要望を聞くことも、顧客の経験をよいものにするうえで重要(重要)

提案・質問・確認・気配り

提案

顧客に満足してもらうために、サービスの提案をしていくことがあります。

  • 提案を行うことに消極的であってはなりません。
  • 安全面や費用のことを度外視するわけにはいかないが、プロとして顧客が想像しているイメージ以上の提案ができる可能性があります。

提案は、顧客に「より満足してもらいたい」ために行うものであり、接客の価値を高める重要な活動になります。

  • 顧客は、ヘアスタイルやヘアケアなどに十分な知識があるとは限らないため、専門家として適切なアドバイスや商品提供などを行うことは、顧客の満足を向上させることにほかなりません。
  • 顧客を大切に思えばこそ、積極的な提案を心がけるべきです。

質問・確認・気配り

よい提案をするには当日の顧客の目的を知る必要があります。その際には、顧客に尋ねることが必要になります。

質問

よりよい提案をするときなどには質問が必要なことも多い。

  • 自分のために考えてくれていると顧客が分かってくれていれば、顧客も答えてくれるだろう。
  • 一般的には顧客の個人的なことを尋ねるのは望ましいこととはいえない。
  • 提案などの目的がない限り、基本的には個人的な質問は避けるべきです。

確認

施術において、自分が取りかかる作業などについて、顧客に確認を求めるために質問することがあります。

  • 施術や仕上がりに問題はないか、他に要望はないかなどを顧客に確認してもらうことで、早い段階でミスを防いだり、修正できるようにしたり、顧客の満足度を高めるために行うもの。
  • 確認は作業の流れの中にあらかじめ織りこむものと、必要に応じて行うものとがあります。
  • 顧客の確認を求めることは、接客を確実に進めて行くうえで重要になります。

気配り

ほかにも気配りとして「冷房は強くないですか」「お湯は熱くないですか」などと尋ねることがあります。

  • 尋ねることで、顧客は喋りやすくなります。
  • 顧客に尋ねることは顧客に対する配慮を伝えることであり、同時により多くの要望を顧客から引き出し、顧客の満足度を高めることになります。

対応が難しいとき・説明・調整

対応が難しいとき

世の中には、美容に関する情報が蔓延しています。情報過多社会です。

  • 顧客はそうした情報の影響を受けてサービスに対する期待を膨らませています。
  • 例えば難しいヘアスタイルを希望したり、自分の髪質や体質ではできない施術を求めたりといったことが生じます。
  • 顧客の要望にはできる限りこたえていく必要があるが、断らなければいけないケースも生じてきます。
  • 顧客の要望を変えてもらう、諦めてもらう、といったことは接客において難しい取り組みだが、それが必要なシーンが増えています。

説明

接客において、説明をすることにより、施術などで何が行われているかを明らかにし、顧客に納得してもらえるようにします。

  • 今日では経営全般において、アカウンタビリティが重視されています。
アカウンタビリティ…説明責任。担当している内容や状況について、より詳しく説明すること。
  • 積極的に説明したり、顧客自身が適切な判断ができるように情報を提供していくことが大切。
  • 顧客に聞かれなくても、「こういうことをしている」「なぜこうするのか」「この薬剤にはこういう効果がある」といったことを説明することは、顧客に安心してもらい、信頼を獲得するうえで重要。
  • 初めて利用する顧客や、新しいことや複雑な施術を行う場合、トラブルが発生して混乱しているケースなどでは特に念入りに説明を行う必要があります。

調整

施術において、顧客が望んでいるメニューを断念してもらい、代わりの提案をさせてもらうことが必要になることがあります。

  • 顧客の希望は叶えてあげたいが、顧客にとってよい結果をもたらさない可能性があることについては、きちんと説明し、断念してもらわなければならないこともあります。
  • 説得には、裏付けとなる資料を用意して提示するなどの工夫も必要だが、顧客のためを思ってのアドバイスであることを丁寧に伝えることです。
  • 可能であれば、説明とともに、代案を提示することが望ましい。
  • 顧客の要望を把握して、それを叶えることができる別の方法を一緒に考えていけたら、結果として高い満足を顧客にあたえることができます。

こうした説明、提案などの活動のことを調整という。

  • 調整は、接客としては高度な技術であり、経験を要するものです。
  • よい調整のためには、ロールプレイングなどのトレーニングをしたり、調整のための提案を皆で検討して準備しておいたり、店内の連携体制を整えておくなどの取り組みが必要になります。
  • また、調整がお店のシステムの一部として準備されていれば、より効果的な対応が可能になります。

謝罪・フォローアップ

謝罪(重要)

サービスとは、顧客によい経験を提供し続ける活動なので、顧客によくない経験をさせることは大きな問題であり、その場合には謝罪をする必要があります。

  • 謝罪は「速やかに」が鉄則である(重要)
  • 適切な謝罪が行われれば、大きな問題にはならないケースのほうが多い(重要)
  • 謝罪は悪い状況・悪い感情から顧客をあるべき状況に引き戻すためのものである(重要)
  • 謝罪は、もう一度顧客としてサービスを受けてもらえるようにするのためのものでもあります。
  • サービスに戻ってきてもらって、信頼を回復するための大切な行為でもあります。

謝罪をする理由(重要)

顧客が仕上がりや対応に不満を言っているというようなクレームの場合、

  • 「本当に自分が悪いのか」「顧客にも非があるのではないか」といったことを考えてしまいがちであるが、これはよくない(重要)
  • 大切なことは、本来提供されるべき満足が提供できず、計画されていたとおりにサービスが提供できなかったという事実です。
  • だれに原因があったかはともかく、サービスを提供する者として期待にこたえられなかったことについて謝罪するということです。
  • つまり「誰が悪いのか」といったことを厳密に特定して原因を究明するなど、おおげさなことが要求されているのではない。
  • 顧客が多少でも不満を感じたとき、速やかに謝罪できればそれで済んでしまうことが大半である(重要)

フォローアップ

フォローアップ

接客は、顧客の退店を終わりと考えず、「顧客の満足が確定するとき」であると考え、そこまでできる限りの努力をするような取り組みのこと。

  • 一般には電子メールなどの手段を通じて、家庭でのスタイリングの工夫、手入れ上の注意、修正のための再来店の呼びかけ、次回利用の呼びかけなどの提案が行われています。
  • 顧客がフォローアップについての情報を受け取ることに同意しているのであれば、質の高いフォローアップを行うことは、満足度向上の非常に有効な手段といえます。
  • 顧客がフォローを受けやすくしたり、受けたくなるような状況を整えたりすることで、顧客が受け取る価値を高め、満足度をアップさせることもできるだろうし、新たなサービスの創造にもつながます。