テェックポイント
・ 国民皆保険制度
・ 制度別保険者と被保険者(国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)
・ 医療費一部負担金の割合
・ 現金給付の概要
・ 介護保険法の目的
・ 被保険者と財源負担
・ 給付制度の概要
が国家試験での【重点項目】とされています。要チェックです。
国民皆保険制度
1959(昭和34)年12月に新国民健康保険法が成立し、
1961(昭和36)年4月からすべての市区町村に国民健康保険事業の実施が義務付けられた。
- これにより、国民皆保険が実現し、世界最高レベルの平均寿命と保健医療水準が実現しています。
なお、75歳以降は、被用者保険又は国民健康保険から外れ、後期高齢者医療制度の被保険者になります。
- 後期高齢者医療制度の医療費の一部負担金の割合は原則1割。
健康保険
概要
労働者や労働者の被扶養者の業務外の傷病、死亡、出産に関する給付を行う。
保険者(保険を行うもの。守ってくれる団体)は、全国健康保険協会と健康保険組合(理容業・美容業を対象とするものとして全日本理美容健康保険組合)。
加入制度別の被保険者・組合員は以下の表のとおり。
制度 | 保険者 | 被保険者(※共済は組合員) |
全国健康保険協会管掌健康保険協会(協会けんぽ) | 全国健康保険協会 | 健康保険加入対象者のうち、健康保険組合適用事業所以外(中小零細事業所が多い)の法人役員、従業員) |
健康保険組合管掌健康保険 | 健康保険組合 | 健康保険組合適用事業所(大企業等が多い)の法人役員、従業員 |
共済組合の短期給付 | 各共済組合 | 国家公務員・地方公務員など |
被保険者
適用事業所に使用される75歳未満の者は、適用除外の者を除き被保険者になります。
- 適用事業所、適用除外の者、短時間労働者への適用に関しては、厚生年金保険の場合と同じ。
- 2ヶ月以上被保険者であった者は、退職後でも一定期間内に申出をすることにより、任意継続被保険者となることができます。
- 公務員などの共済組合の場合は、被保険者ではなく、組合員という。
被扶養者
健康保険では、被保険者自身だけでなく、一定の扶養家族の業務外の傷病などに関しても給付を行う。(重要)
- 対象は、①被保険者の直系尊属、配偶者、子、孫、兄弟姉妹や、②被保険者の3親等以内の親族(①に該当しない者)など。
給付
健康保険の主な給付は、以下のとおり。
- 療養の給付
- 療養費
- 高額療養費
- 傷病手当金
- 出産育児一時金
- 出産手当金
- 埋葬料・埋葬費
語呂合わせ:シューマイ小旅行
シュ(出産育児一時金・出産手当金)ーマイ(埋葬料・埋葬費)小(傷病手当金)旅(療養の給付・療養費)行(高額療養費)
療養の給付
健康保険の被保険者及び被扶養者が業務以外の事由により病気やけがをしたときは、医療機関に保険者証を提示することにより、一部負担金のみで治療を受けることができます。
- 一部負担金はかかった医療費の3割(70歳以上の者と小学校入学前の者を除く。)(重要)
一部負担金
医療機関の窓口でかかった、医療費などの一部の費用
- 残りの医療費は保険者が払う。
(例)自己負担割合3割で医療費10万円がかかった際の退院↓
- 3万円を自分が窓口で支払う。7万円は保険者が払ってくれます。
療養費
手続き中で被保険者証が未交付の場合やコルセットなどを作った場合、海外旅行中の場合など、療養の給付を受けられない場合は、いったん医療費を全額被保険者が負担し、あとで請求して療養費として還付を受けることができます。
高額療養費
病気などで医療費の支払いが数十万円や数百万円ほどかかった場合に、上限を設けて負担を抑えてくれる制度。
- 1ヶ月に支払う医療費が(標準報酬月額に応じる)自己負担限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻されるというもの。
- 医療費が高額になることが事前に分かっている場合には、限度額適用認定証(限度額証)の交付を受けておく。
- 限度額適用認定証を提示すれば、一時的とはいえ、高額の医療費負担を避けることができます。
参考【限度額証の利用について】
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3020/r151/
傷病手当金
業務外の傷病による療養のために仕事を休み、給与を受けられないときの生活保障金。(重要)
- 連続して3日間の後、4日目以降の休んだ日について支給されます。
- 金額は、1日あたり「支給開始日以前の継続した12カ月の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2」。
- 支給される期間は、同一傷病に対し、支給開始日から1年6ヵ月。途中、出勤した期間があっても延長されない。
出産育児一時金
出産した場合、1児につき原則として42万円が支給されます。
- 保険者が医療機関に対し、直接払い制度を利用すれば、事前に高額の出産費用を準備する必要がなくなります。
出産手当金
出産のため会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合は、出産の日以前42日から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間について支給されます。
- 1日あたりの金額は傷病手当金と同じ。(「支給開始日以前の継続した12カ月の標準報酬月額の平均額÷30×3分の2」)
埋葬料・埋葬費
被保険者が業務外の事由により死亡した場合、死亡した者により生計を維持され、埋葬を行う者に理葬料として5万円支給されます。
- 埋葬料を受けられる者がいない場合は、実際に埋葬を行った者に、5万円の範囲内で実際に埋葬に要した費用が埋葬費として支給されます。
- 被扶養者が亡くなったときは、被保険者に家族理葬料として5万円が支給されます。
保険料
保険料は、標準報酬月額、標準賞与額に保険料率を乗じて決定されます。
- 保険料率は都道府県ごとに異なります。
- 健康保険組合の場合は、各組合独自に健康保険料率、介護保険料率が決定されます。
- 産前産後休業、育児休業中の保険料は免除されます。
一部負担金
75歳未満の者が加入する健康保険、各共済組合の短期給付における医療費の一部負担金の割合は、原則として以下の表のとおり。
制度 | 年齢 | 負担割合 |
健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)各共済組合の短期給付 | 70歳以上 | 2割 |
小学校入学以降70歳未満 | 3割 | |
小学校入学前 | 2割 |
国民健康保険
概要・被保険者
健康保険などの被用者保険に加入していない者を対象とする医療保険制度。(重要)
国民健康保険の被保険者は以下の表のとおり。
制度 | 保険者 | 被保険者 |
国民健康保険 | 市町村・特別区(重要) | 市町村等の区域に住所を有する者。(75歳以上及び地の医療保険制度の被保険者を除く) |
国民健康保険組合(重要) | 組合員及び組合員の世帯に属する者。 |
給付
国民健康保険の給付は、
- 法定必須給付
- 法定任意給付(原則として行わなければならないが、特別の理由があるときは全部又は一部行わないことができる)
- 任意給付(行うかどうかは自由)
に分けられます。(重要)
国民健康保険の給付は健康保険と共通する点が多い。(重要)
↓以下は、健康保険と大きく異なる点です
高額療養費
国民健康保険の自己負担限度額は、所得金額によって定められた額となる。(重要)
↔︎ 健康保険では、標準報酬月額に応じて自己負担限度額が定められる
特別療養費
保険料を滞納して被保険者証を返還し、被保険者資格証明書の交付を受けた場合、医療費の全額をいったん負担し、現金給付である特別療養費として支給を受けることになります。
特別療養費制度
特別の事情がないにもかかわらず、1年以上にわたって国民健康保険税を滞納している世帯主に対し、保険証の返還を求めたうえで、保険証に代わるものとして10割負担となる「被保険者資格証明書」を交付します。
このまま医療機関を受診した場合、一旦は医療費の全額を負担するが、後日保険料の納付について特別療養費の申請をすると、一部負担金を差し引いた金額が支給されます。
支給する金額のうち、一部または全部のお金が、強制的に、滞納している保険料の支払いに使われます。
保険料
国民健康保険料の計算方法は市区町村によって異なります。
- 一般的には、均等割(加入者の人数で決まる料金)と所得割(所得金額で決まる料金)から構成されます。
- 同じ条件下でも、保険料は都道府県によって異なります。(=保険料率が異なる)
一部負担金
75歳未満の者が加入する国民健康保険における医療費の一部負担金の割合は、原則として表のとおり。
制度 | 年齢 | 負担割合 |
国民健康保険(市町村・特別区、国民健康保険組合) | 70歳以上 | 2割 |
小学校入学以降70歳未満 | 3割 | |
小学校入学前 | 2割 |
介護保険(重要)
概要
高齢化の進展にともなう要介護高齢者の増加など、介護ニーズが増大する一方、核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況も変化してきた。
これらを背景に、2000(平成12)年4月から、介護を必要とする高齢者を国民全体で支えるための仕組みとして実施された制度が介護保険制度です。
介護保険法の目的
介護保険法は、加齢に伴って生じる心身の変化による疾病等により介護が必要になった状態となった人を対象として、その人々の能力に応じ、尊厳を保持しながら、その人らしい自立した日常生活を営むことができるようにする事を目的としています。
介護保険法 (目的)
第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とします。
(平一七法七七・一部改正)
被保険者
以下のいずれかに該当する者。
第1号被保険者
市町村の区域内に住所を有する65歳以上の者。
第2号被保険者(重要)
市町村の区域内に住所を有する40歳以上65歳未満の医療保険加入者。(重要)
給付
給付には、介護給付・予防給付・市町村特別給付の3つがあります。
語呂合わせ:介護の給付しよーか
し(市町村特別給付)よ(予防給付)ーか(介護給付)
介護給付
被保険者の要介護状態に関する保険給付。
予防給付
被保険者の要支援状態に関する保険給付。
市町村特別給付
要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資する保険給付。
- 介護保険法で定める保険給付以外に条例で定めるもの。
保険料
第1号被保険者
条例で定めるところにより算定された保険料率により算定された保険料額が課されます。
第2号被保険者
各医療保険者が医療保険料の一部として賦課・徴収します。
一部負担金
利用者の負担金1割を除く残りは、公費(税金)と、介護保険の被保険者が納める保険料で半分ずつ賄っています。
雇用保険(重要)
概要
労働者が失業し、給与が受けられなくなった場合に、一定期間所得の保障を行う制度として開始された失業保険制度。
現在では雇用保険と名称を変え、教育訓練を受けた場合、求職活動をする場合のほか、高齢・育児・介護といった雇用の継続が困難になりやすい場合にも給付を行う制度となっています。
被保険者
適用事業に雇用される者で週の所定労働時間が20時間以上、継続して31日以上雇用見込みがある者は雇用保険の被保険者になる。(重要)
- 個人事業主や法人の役員、事業主と同居の親族等は原則として雇用保険の被保険者になりません。
- なお、適用事業は原則として、労働者が1人でも雇用されれば該当します。
給付
雇用保険の主な給付は以下のとおりです。
- 基本手当
- 高年齢求職者給付金
- 一般教育訓練給付金
- 高年齢雇用継続給付
- 育児休業給付
- 介護休業給付
語呂合わせ:コーラ一気いくかい
コ(高年齢求職者給付金・高年齢雇用継続給付)ーラ一(一般教育訓練給付金)気(基本手当)いく(介護休業給付)かい(介護休業給付)
基本手当(重要)
被保険者が失業(離職し、労働の意思及び能力があるにも関わらず、職業に就くことができない状態)した場合に支給されます。
- 原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12ヵ月以上であったとき、所定の手続きを行うことにより、失業の認定を受けた日について支給される。(重要)
- 自己都合退職の場合は、手続き後、3ヶ月の給付制限期間がある。(重要)
- 基本手当の日額は、賃金日額に給付率(年齢と賃金日額により決定)を乗じて決定されます。
基本手当を受けることができる日数は、以下によって決定されます。
- 特定受給資格者(解雇などにより離職した者)か否か
- 離職日における年齢
- 算定対象期間(原則として雇用保険の加入期間。前職の期間を通算できる場合がある)
高年齢求職者給付金
65歳に達した日以降に離職した者が離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヶ月以上であったとき、所定の手続きを行うことにより支給されます。
- 一時金として支給され、金額は基本手当と同様の方法で計算された日額の50日分(算定対象期間が1年未満の場合は30日分)です。
一般教育訓練給付金
支給要件期間(原則として雇用保険の加入期間)が3年以上ある被保険者(又は被保険者でなくなった日から10年以内の者)が一定の教育訓練を受けた場合、原則として受講費用の20%が支給されます。
高年齢雇用継続給付
雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、原則として60歳以降の賃金が60歳時点に比べて75%未満に低下した状態で働いている場合に支給されます。
- 賃金が60歳時点の賃金の61%以下に低下した場合は、支払われた賃金の15%相当額が支給されます。
育児休業給付
育児休業開始前の2年間に、原則として雇用保険の加入期間が12ヶ月以上あれば支給されます。
- 休業中、賃金がまったく支払われていない場合の支給額は、1ヶ月あたり、原則として休業開始時賃金日額×支給日数の67%(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)相当額になります。
介護休業給付
介護休業開始前の2年間に、原則として雇用保険の加入期間が12ヶ月以上あれば支給されます。
- 休業中、賃金がまったく支払われていない場合の支給額は1ヶ月あたり、原則として休業開25始時賃金日額×支給日数の67%相当額になります。
保険料
給与や賞与の金額に保険料率を乗じて算出されます。
労働者災害補償保険(労災保険)(重要)
制度
本来事業主が行うべき災害補償を、事業主が保険料を負担することにより政府が保険給付を行う制度として発足した制度。(重要)
- 労働者の業務災害、又は通勤災害について、必要な保険給付を行う。
被保険者
労働者災害補償保険(労災保険)には、被保険者の概念はない。(重要)
- 適用事業に使用される労働者は、国籍や身分、年齢などにかかわらず適用労働者となる。(重要)
- 法人の役員や個人事業主などには適用されない。(重要)
- 中小事業主など、労働者に準じて保護を行うことが適当とされる一定の者には、特別加入制度があります。
給付
- 労働者災害補償保険では、給付名称に「補償」が入るものが業務災害に対する給付、入らないものが通勤災害に対する給付。(重要)
- 業務災害に該当するには、「業務遂行性」(事業主の支配下にある状態)、「業務起因性」(業務と傷病との間に相当な因果関係がある)が必要。
- 通勤災害に該当するには、通動と傷病等に相当な因果関係があることが必要。
「補償」が入るものが業務災害!入らない者が通勤災害!
労災保険の主な保険給付は以下のとおりです。
- 療養(補償)給付
- 休業(補償)給付
- 障害(補償)給付
- 遺族(補償)給付
語呂合わせ:労災保険で、一生分の給料(欲しい)
・・・一(遺族(補償)給付)生(障害(補償)給付)分の給(休業(補償)給付)料(療養(補償)給付)
療養(補償)給付
労災指定病院などで診察や治療などを受ける場合は現物給付として支給されます。
- それ以外の医療機関などの場合は、いったん労働者が費用を負担し、後日現金給付として受けます。
休業(補償)給付
業務や通勤が原因となった傷病による療養のため労働できず、賃金を受けられないとき、4日目から支給される所得保障。
- 賃金をまったく受けない日の場合、給付基礎日額(平均賃金)の60%(特別支給金として20%加算し、合計80%)が支給されます。
障害(補償)給付
業務や通勤が原因となった傷病が治ったとき、一定の障害が残った場合に支給されます。
- 障害等級1級~7級に該当するときは年金として支給されます。
- 8級~14級に該当するときは一時金として支給されます。
遺族(補償)給付
業務や通勤が原因で死亡した労働者の遺族に対して支給されます。
- 死亡当時生計を維持していた配偶者、子、父母、孫、相父母、兄弟姉妹のうち最優先順位の者に支給されます。
- 妻以外の遺族には年齢又は障害に関する要件があります。遺族数などに応じて、遺族(補償)年金、遺族特別一時金、遺族特別年金として支給されます。
保険料
保険料は、全額事業主負担。(重要)
- 金額は給与や賞与の額に労災保険率を乗じて算出される。(重要)
- 特別加入者の場合は、給付基礎日額(3,500円から25,000円の間で申請に基づき都道府県労働局長が決定)×365(年度を通じて加入している場合)×労災保険率で年額が算出されます。
マイナンバー制度(重要)
マイナンバーとは、日本に住民票を有するすべての者(外国人を含む)がもつ12桁の番号。(重要)
利用目的
マイナンバーは、社会保障、税、災害対策の3分野で、複数の機関に存在する個人の情報が同一人物の情報であることを確認するために活用される。(重要)
- マイナンバーの導入により、行政の効率化、国民の利便性の向上、さらに公平・公正な社会の実現を目指しています。
個人情報管理
法令で定められた目的以外にマイナンバーを利用することはできない。(重要)
- 他人のマイナンバーを不正に入手したり、マイナンバーや個人の秘密が記録された個人情報ファイルを他人に不当に提供したりすると、厳しい罰則が課せられることになっている。(重要)
- また、マイナンバーを提供する際には、マイナンバーの確認と身元の確認が義務付けられています。